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素人のサプリ選びはまちがいだらけ 専門家が実践する利用法とは

  • 書名 『サプリメントの正体』
  • 監修・編集・著者名田村忠司
  • 出版社名三笠書房

何となく体調が悪かったり、体力の衰えを感じたり、風邪をひきやすくなったり。
こうしたちょっとした体調の変化を感じるとなんとなく不安になるもの。そんな折、インターネットやテレビを見ていると、健康増進を標ぼうするサプリメントの広告が目に飛び込んでくる。

思わず購入の手続きに入ってしまいそうなシチュエーションだが、ちょっと待ってほしい。その行動は本当に正しいのだろうか?

『サプリメントの正体』(三笠書房刊)は、有象無象のサプリメントが溢れかえる現状に警鐘を鳴らし、正しいサプリメントの知識を授ける一冊。今回も前回に引き続き、著者の田村忠司さんにサプリメントにまつわる種々の疑問をぶつけていく。

■サプリメントにお金を使うならビタミン剤を買うべき

――田村さんご自身はサプリメントをどのように利用していますか?

田村:栄養補助が目的で、マルチビタミンとミネラル。それに加えてビタミンCを増し飲みしています。秋から冬にかけてはビタミンDも加えます。

本当は、栄養は食事で補うのが一番なのですが、出張が多くて食事が不規則になるものですから、あらかじめ底上げしておこうという目的です。ストレスがかかるとビタミンCをすごく消耗するので、ビタミンCも追加しています。そういう時にワンポイントリリーフ的にサプリメントで補うのはありだと思います。ビタミンDは紫外線が低下する時期に、インフルエンザを予防するのが目的です。

――田村さんの会社では医師、歯科医師専用にサプリメントを提供しているとのことですが、医療機関はどのような目的でサプリメントを使うのでしょうか?

田村:人間には不足すると最終的には死んでしまう栄養素が5グループあります。炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルがそれで、「必須栄養素」と言います。今の先進国の社会ではこれらに属する成分の多くが不足している人が多いんです。なぜかというと皆さん忙しくて、お金も時間も削ろうと思うと、まず食事のところを削りますから。

必然的にコンビニ弁当や加工食品、手ごろな値段の外食が中心になりがちなのですが、そうなると栄養的にはすごく貧しくなるんですね。一日どのくらい栄養を摂らないといけないかは個人差がありますが、こういう生活が続くと体質的に多めのビタミンやミネラルを摂らないといけない人から具合が悪くなっていきます。

本来なら食生活を改善することが一番なのですが、忙しかったり、体調が悪かったりで買い物も料理もできないという人もいるわけで、そういう方々が効率よく栄養状態を改善できるようにという目的のサプリメントですね。

具合の悪い患者を診て「栄養不足かもしれない」という視点をお持ちのお医者さんは決して多くはないのですが、中にはわかっている方もいます。そういうところで使っていただいています。

――医療機関向けのサプリメントは、市販のサプリメントとどのように違いますか?

田村:市販のサプリメントは、普通に暮らしている方々が健康状態を維持するためのものなので、栄養素としては「一日これだけの栄養を摂っていれば、健康に暮らせますよ」という量が含まれています。

一方で医療機関向けのサプリメントはすでに体の具合が悪くなっている人向けですから、それだとパワーが足りないんですね。だから、入っている栄養素の顔ぶれ自体は特別なものではないのですが、量が違います。

――サプリメントとの付き合い方についてもお話をうかがいたいです。私はこれまでサプリメントを摂ったことがないのですが、周りには日常的に何らかのサプリメントを使っている人が多くいます。自分も何か使った方がいいのでしょうか。

田村:健康上の悩みがないなら、無理にサプリメントを使う必要はありません。それならいいレストランに行っておいしいものを食べたり、食材を買ったりするのにお金を使う方が健全です。

今は「健康寿命」の重要性が叫ばれている時代ですから、元気なうちから何か対策をしておこうということでサプリメントに目を向ける方は多いのですが、生活スタイルを改善せずに楽をして問題を解決しようとすると、結果として変なサプリメントに手を出してしまうことになりやすい。健康寿命というのなら栄養豊富な食事を摂って運動すればいい。必要なのはそれだけなんですよ。

――そうとわかっていても、なかなかできないんですよね。

田村:体調に問題はないけど、ちょっと疲れているし栄養状態に自信がないから、何か栄養補助的に摂ろうかなという時は、サプリメントではなくビタミン剤を買う方がいいと思います。

――ビタミン剤はサプリメントとは違うんですか?

田村:見た目はよく似ていますが別物です。両方ともドラッグストアに売っていますが、ビタミン剤は医薬品なので、薬剤師や登録販売者がいないと買えません。

そういう人に声をかけて「最近ちょっと疲れているので、いいビタミン剤はありませんか?」と相談して買うのが安心だと思います。

――「ダイエットサプリのみで痩せるのは難しい」と書かれていましたが、痩せたい人はサプリメントをどう利用していけばいいのでしょうか。運動と組み合わせて使う分には効果あるのでしょうか?

田村:まず、飲むだけで痩せる成分というのはサプリメントにはありません。じゃあダイエットサプリとは何なのかという話なのですが、たくさん売るために「飲めば痩せる」というような広告文句を使うわけです。

ダイエットでサプリメントを使うのなら、目的は「栄養不足の回避」になります。体重をコントロールしたいとなった時に、食べる量を減らすというのはついてまわるので、そこで栄養不足にならないように、ビタミンやミネラルの補給をするというのが正しい。そして、その際も市販のサプリメントではなく、栄養療法に造詣の深い医師に相談して選んでもらうか、薬剤師に相談してビタミン剤を使った方がいいと思います。

――最後になりますが、サプリメントに関心がある方や、今使っているサプリメントに満足していないという方にメッセージをお願いいたします。

田村:まずは元気な方はサプリメントを無理に選ばないでいただきたいということです。もし栄養状態に自信がないのなら薬剤師に相談してビタミン剤から選ぶ。サプリメントのCMで言っている「新素材」や「特殊な成分」に走るのはお金がもったいないのでやめた方がいいです。

具合が悪くなっている人がサプリメントを使う場合は、自分で選ばずに、栄養摂取で解決するという視点を持っている医師を探して相談したうえで選ぶのが大切です。素人判断で高価なサプリメントに手を出すのは危険だということは繰り返し申し上げたいですね。

もう一つ、サプリメントはあくまで緊急避難措置と考えて欲しいです。元気になったら旬の新鮮な食材や調味料を手に入れて、食事で栄養補給するのがお勧めです。手抜きでも美味しい料理ができるレシピを工夫するのも楽しいと思います。

(新刊JP編集部)

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