「そろそろ家を買いたいな」
「この超低金利が続いているうちに、ローンを組んじゃったほうが得?」
「来年の東京オリンピック後に不動産価格が下がるなら、それを待ってからのほうがいい?」
マイホーム購入は誰にとっても高価な買い物。だからこそ迷いや疑問が多々あるはずです。『家を買いたくなったら 令和版』(長谷川高著、WAVE出版)はこうした問いに答えてくれる一冊。
本書は2006年に発刊されベストセラーに、2011年には新版が発刊されました。今回の「令和版」では、家の購入を考えている人に向けた実務的なノウハウだけでなく、昨今の不動産市況や変化し続ける社会的背景も視野に入れ、家の購入のタイミングやその方法についても深掘りしています。
近年、東京都心を中心に不動産の高騰が続きましたが、将来はどうなるのでしょうか。
たとえば、現在、首都圏のマンション供給戸数はピーク時の半分以下になっています。これは2008年のリーマン・ショック時に中小のマンション分譲会社が多数破綻した影響や、大手企業の寡占状態や建築費の高騰などが連動した結果です。
一方で、需要サイドは逼迫しています。ここ数年は人口のボリュームゾーンを構成している団塊ジュニア世代の住宅購入適齢期にあたり、さらに超低金利によって見かけ上ローンが組みやすくなっているからです。
この需要と供給のバランスが、現在の高い不動産価格を維持している一因になっていたのですが、今後は、生産年齢人口(15〜64歳)の減少や団塊ジュニア世代の高年齢化などによって需要は大幅に減っていき、その結果として「中長期的には、住宅の価格はさがっていかざるを得ない」と著者は予想します。
最近では男女を問わず結婚しない人たちが増えています。今後、確実に増えるであろう単身者の家の購入にあたって、マンションを例にして、成功例と失敗例を検証すると、こんな風になるのだとか。 Aさんは、30代で都心の比較的良いところに50㎡程度の新築マンションを購入しました。その後、自分の生まれ育った地方都市にUターンしましたが、Aさんは購入したマンションを貸し、毎月20万円近い家賃収入を得ています。
Bさんは、同じく都心に20~30㎡台の狭小マンションを購入しました。購入後に結婚が決まり、マンションを売って新居の頭金にしようとしましたが、このような広さの物件は売買のマーケットが小さいため、なかなか売れません。また、購入して数年経過し、売れる価格は買値の60%程度になっていました。
単身者の場合、購入時は独身でも、その後結婚などをきっかけに賃貸や売却に転じるケースが多く、また実家の都合や親の介護といった理由でUターンする可能性もあります。だから、物件を購入するなら「将来のことを考えて、売りやすく、そして貸しやすい物件」というのがポイントとなります。
最近注目を浴びている住宅の一つに「リノベーション物件」がありますが、この人気の物件を購入するにあたって見逃してはいけない点とはなんでしょうか。
たとえばマンションの場合は、建物の専有部分と共用部分とをしっかり分けて判断することが大事で、特に、遮音性や建物全体の修繕の対応などは見逃してはいけません。
古い建物は、古いゆえに価格も安いわけですが、人間と同じように年をとればいたるところに問題が生じ、何かとお金がかかります。「そういったことを前提とした価格の安さでもあるのだと認識したうえで、購入の是非を決定すべき」と著者は指摘します。
このように、本書では必ずしも不動産を買うことをすすめているわけではありません。「事実と真実をわかりやすく伝えたうえで、その結果が『家を買わない』という選択でもいい」と、著者は言います。
本書では、先述の「将来のことを考えて、売りやすく、そして貸しやすい物件」の具体的な見つけ方を含め、 "家を買いたくなったら"、知っておきたい情報、知っておかなければいけない情報が満載。
「令和」を迎えたこの時代に、一生において、いちばん高価な買い物であろう「家」にどう対峙したらいいのか、少なくとも失敗しないためにはどうしたらいいのか。本書から多くのことが学べるはずです。
(新刊JP編集部)
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