3月29日(金)に開幕したプロ野球。
待ちに待った「球春」に心を躍らせている野球ファンは多いはずだ。
ひいきのチームの戦いはもちろん、気になるのは各チームに新加入した選手たちだ。中でも昨オフのFA市場の目玉だった丸佳浩選手(広島→巨人)や、オリックス・バファローズを自由契約になり北海道日本ハムファイターズに加入した金子弌大投手が新天地でも期待通りの活躍を見せることができるのかは今シーズンの野球界の盛り上がりを左右するかもしれない。なんだかんだ、ファンは敵チームであってもスター選手を見たいのだ。
しかし、そんなスター選手たちが、アマチュア時代から同世代のトップを走ってきたかというと決してそんなことはない。そして、プロ入りした当時からはまったく違うタイプの選手として球界を代表する存在にまで登りつめることも多々あるのがプロ野球のおもしろいところだろう。
スポーツライターの小関順二氏は、著書『プロ野球 問題だらけの選手選び: あの有名選手の入団前・入団後』(草思社刊)の中で、プロ入り当時の丸選手について「タイプでいえば1番、2番を打つチャンスメーカーだと思っていた」としている。
ところが丸選手は小関氏が予想した「巧打者」としての将来像よりもはるかにスケールの大きな打者に成長した。昨シーズンの39本塁打97打点はまぎれもない「強打者」の数字である。40本近くホームランを打つ打者になると入団時に予想していた人は誰もいなかったのではないか。
金子投手も「ここまでの投手になるとは思わなかった」という点では同様かもしれない。プロ入り時、実力こそ高く評価されていたがドラフトのタイミングでヒジの故障が発覚したからだ。
小関氏によると、この故障を持ち越しての入団で担当スカウトがオーナーから叱責されたそう。ただフタを開けてみればここまで最多勝2回、最多奪三振1回、最優秀防御率1回、沢村賞1回と、現球界どころか平成を代表する大投手にまで成長した。当時のスカウトの目は確かだったということだろう。
一方で、アマチュア時代トップを走ってきた選手がそのままプロの世界でも一流になるとは限らないということもいえる。その意味では、鳴り物入りで入団した選手が期待通りに成長するのかどうかも気になるところだ。
その筆頭格が北海道日本ハムファイターズの清宮幸太郎選手だろう。残念ながら手首の故障で今シーズン大きく出遅れてしまった清宮選手だが、小関氏の見立ては「10年に1人」の逸材。高校通算111本塁打という怪物じみた数字が有名だが、そのうち公式戦で打ったのは29本。いずれも強豪校のレベルの高い投手から打っているところに価値がある。
ファンがプロの世界で期待するのはもちろん「本塁打王」。小関氏は「近いと思う」と予想している。故障から復帰した時にどんな打撃を見せるのか。真価が問われるのは後半戦に入ってからかもしれない。
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『プロ野球 問題だらけの選手選び: あの有名選手の入団前・入団後』は今各球団の主力になっている選手たちがプロ入り時にどんな評価を受けていたのかがわかる一冊。入団時の期待そのままに成長した選手もいれば、プレイスタイルを変えて成功した選手もいる。今シーズンのプロ野球を楽しむお供にしてみてはいかがだろう。
(新刊JP編集部)
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