自分のやりたいことを思う存分できたとしたら人生は幸福なはず。
それがわかっていても、毎日に充実感を持てなかったり、漠然とした不安を抱えている人は少なくありません。もしあなたもそうなら、自分を捉えて窮屈にしている「常識」や「価値観」を疑ってみるといいかも。
『脱 バカシステム!~想像以上の結果を出し続けるメソッド』(サイゾー刊)は、世にはびこる真偽不明な「○○でなければいけない」を、「人の思考と行動を縛るバカシステム」と喝破する一冊。
今回は、この本の著者でビジネスプロデューサーの鈴木領一さんに、この「バカシステム」について、そして「人生の成功」について、お話をうかがいました。その後編をお届けします。
■「夢」も「目標」もなくても成功者になれる
――「バカシステム」から抜け出した後、人生を成功させるために必要とされる「Xメソッド」についてもお聞きしたいです。
鈴木:Xメソッドは、実は多くの人がもうやっていることです。たとえば、ビジネスでは解決しないといけないけど、すぐに解決法がわからない問題に出くわすことがありますが、こういう時明確な解決法がわからなくても、解決する努力はやめませんよね。
今はどうしていいかわからないけど、とりあえず前に進もうと。そうすればどこかで解決法が見つかるだろうという前提で、解決法は「X」としたまま、探しながら前に進んでしまう。そうするとどこかのタイミングで解決法が必ず出てくる。これが「Xメソッド」の考え方です。
人生も一緒で、自分が何をしていいかわからなかったら、それは「X」にして、わからないままとりあえず興味の赴く方に進んでみればいい。その時に「もしXがわかったら自分の人生はこんな風に変わるな」というイメージをしてみてください。「生活がもっと楽になる」でもいいですし「こんな出会いがあるだろう」でもいいです。
そうやって「X」の周りを固めていくと「X」はぼんやりと見えてくる。でも、これって誰もが無意識にやっていることなんですよ。
Xメソッドは、成功している人に共通の思考法です。先日、主婦からココナッツオイル販売事業で年商7億円の会社を作った荻野みどりさん(株式会社ブラウンシュガーファースト代表取締役社長)と対談したんですが、「脱バカシステム!」を読んでいただき、「この本、私がやってきたことが全部書いてある!」と驚かれていました。
年商100億円を超える会社の創業者からも、同様の反応をいただいています。
私は理論ありきではなく、成功している人の行動からフィードバックして理論を構成していますので、このような反応は当然だと思っています。
どんなに凄い人でも、最初は、先のことは分からずに進んでいるんです。その最初のきっかけが、ちょとした「ひらめき」だったりするんです。
――まずは自分のひらめいた方向に進んでみる。
鈴木:いいなと思ったらやるべきです。やってみたその先のイメージができないという理由でやらなかったり、やめてしまったりする人も多いですが、未来のことなんて誰もわからないですよ。「犬も歩けば棒に当たる」ではないですが、動き続けていれば必ず、思わぬ何かに当たります。そこは人間が想像できる範囲ではないんです。
ビジネスで成功した人に取材をしてみると、始めた当初に今ほどの成功を収められると思っていた人なんて一人もいません。成功者にとっても今の自分はかつての自分の想像を超えているんです。
だから、自己啓発書に書いてあることなんてウソですよ。夢なんてなくても、未来の自分のイメージが持てなくても、少しでも興味がある方向に行動してみればいい。行き当たりばったりでいいんです。
――「行動する」というのは、たとえば「今、仮想通貨で皆儲けているから、俺もやってみよう」というような、他人の行動に流される形でもいいんですか?
鈴木:やりたいならやってみればいいと思います。何も悪いことではありませんよ。もしそれで痛い目にあっても、そこから学ぶことは大きいでしょう。
僕も20代の頃に金の先物に手を出してひどい目にあったことがありますが、やはりその失敗から得たものは大きかったです。儲かった時や成功した時より、痛い目にあった時の方が学びがあります。だから、やってみたいと思ったことはやってみるべきだと思います。
――鈴木さんが考える「成功」の定義も気になるところです。
鈴木:一般的な意味での成功と、今回の本においての成功は違います。
この本では成功の定義を「どんなときも、心からやりたいと思っていることをやっていて、自分の可能性を常に発見している状態」だとしています。
成功というと、経済的な成功をイメージする方が多いかもしれません。でもお金がある状態を成功だと考えてしまうととんでもないことになる。だって、お金が手に入ったらそこで人生の目的を果たしてしまったことになるわけでしょう。
やりたいことをやって、自分の可能性を感じられる状態にないと、たとえお金があっても幸福感が伴わないんですよ。
――「やりたいこと」ができていれば「夢」がなくても大丈夫、ということですね。
鈴木:少しでも自分の可能性が見えている時に、人は活き活きします。夢があるかどうかは関係ありません。
毎日子どものお弁当を作るのが好きで、毎日少しずつ工夫を入れて変化をつけることに生きがいを感じているお母さんがいたとして、そのお弁当作りは夢とは別物でしょう。そういう風に生きがいを持っている人に「夢を持たなきゃ」というのは余計なお節介というものです。
夢があるならそれはそれでいいことで、もちろん目指すものに向かって進めばいいのですが、夢がない人の人生が貧しいものだというわけではないということは言いたいですね。
事実、具体的な夢を持っていたわけではないのに、「やりたいこと」をやっているうちに、大きな会社を作ってしまった、ということもあります。
エイベックスの創業者・松浦勝人氏もそうですね。松浦氏は、「私は一度も明確にレコード会社をやりたいと思ったことはない。目の前の面白いことをやっているうちに、いつの間にか、今の位置にいた」と語っています。
私の知人で上場企業の経営者も、「会社をやるつもりじゃなかったけど、成り行きで会社を作ったら、気がついたら上場までしていた」という人もいます。
私の経験では、大きな成果を上げた人でも、最初から明確な目標を持っていなかった人の方が多いですよ。事の大小に関わらず、「やりたいこと」をやることで、自分が想像もしなかった未来(ビヨンド)に辿り着く可能性があるんです。
――本書をどんな人に読んで欲しいとお考えですか?
鈴木:夢や目標を見失っている人、夢や目標がないことに後ろめたさを感じている人ですね。
目標をもってやってきたのに成果に結びつかないという人にも読んでいただきたいです。成果が出ないというのは、そもそもの目標設定が間違っている可能性もあります。自分の目標自体が「バカシステム」に基づいたものではないかと見直す意味でも、今回の本は役立ってくれると思っています。
――最後に、今挙げていただいたような方々にメッセージをお願いします。
鈴木:今はこれまで有効だった様々なバカシステムが崩れてきている時代です。働き方もそうですし、メディアの情報もそう。常識だとされてきたことの中には案外根拠のないことやウソが紛れ込んでいるというのがだんだんわかってきた。
「こうでなければいけない」と信じ込んできた価値観や常識があるなら、それらを一度疑ってみて、不要なものだと思ったら捨ててしまえばいい。少しでもいいなと思ったら、周りの声など気にせずやってみる。自由な生き方をして欲しいと思います。
そうして一歩目を踏み出したら、見える景色はこれまでとは違うはずです。
(新刊JP編集部)
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