どんなに客観的に物事を見られる冷静な人であっても、人は多かれ少なかれ何らかの思い込みや偏見を必ず持っている。
「思い込み」や「偏見」が厄介なのは、本人に自覚がないことだろう。なぜその思い込みが生まれたのか、いつからその偏見を持っているのかを覚えている人はいない。だから、普通にしていたらこれらの思い込みや偏見から解き放たれることはない。
■あなたは人生を成功から遠ざける「バカシステム」にはまっていないか
『脱 バカシステム!~想像以上の結果を出し続けるメソッド』(鈴木領一著、サイゾー刊)は、思い込みや偏見といった「思考のフレーム」によって思考停止状態に陥り、その場において適切な考えと正しい行動がとれなくなることを「バカシステム」と呼び、人を成功から遠ざけるものだとしている。
逆に、「バカシステム」から脱却した人は、想像を超えた成功を手に入れることができるという。
たとえば、人は「必要な情報」ではなく「自分の見たい情報」を見るとよく言われる。これは、価値観という心のフレームに沿った情報ばかりをキャッチしているということ。それ以外の情報は目に入らなかったり、よくよく調べもせずに好ましくない情報として受け取ったりする。これでは自分の可能性を自ら狭めるだけだろう。
自分の人生をより良いものにしたければ、まずは「バカシステム」の存在を知り、自分もすでに何らかの思い込みや偏見に捉われていることに気づくこと。そして、「バカシステム」から逃れることが必要なのだ。
■偏見や思い込みから自由になる4つのポイント
著者でビジネス・プロデューサーの鈴木領一氏は、「バカシステム」から解放されるための第一歩として以下の点を挙げている。
・全部「嘘」だと思ってみる
好むもの好まざるものかかわらず、全ての情報を「これが嘘だったら」「まちがえてないか?」と疑ってみる。そしてその裏にある「仕組みや意図」について考える。
いかに自分が「プロが言っているから」「専門家の意見だから」というだけの理由で情報を信じているかがわかるはずだ。「プロや専門家はまちがえない」というのは、いうまでもなく思い込みである。
・答えは複数あると考える
受験勉強に代表される画一的な学校教育の影響もあり、とかく私たちは「唯一解」を求めがちだが、世界で起きていることには「唯一絶対の答え」もなければ「完全無欠の真実」もない。あるのは、不特定多数の可能性と選択肢である。
あなたは自分の周りで起きた物事について、直接見聞きしたものの他に「可能性としてありえた展開」を何通り考えることができるだろうか?
・「メタ思考」で考える
周りの人よりも一段高い位置に立つだけで、他の人には見えないものが見えることがある。これは思考についても同様で、抽象度の高い「メタ思考」ができる人は、他の人が考えつかないアイデアを考えることができる。
たとえば「カミソリ」と「インクジェットプリンター」は全く別のものだが、「メタ思考」で考えると「共に本体ではなく消耗品の交換で儲かる商品」であり、共通のビジネスモデルを持つ点に目が行くだろう。
思考による俯瞰で、物事の全体を見ることは「バカシステム」からの解放には欠かせない。
・言葉の定義を変えてみよう
思えば、言葉の定義は「思考のフレーム」そのものだ。
ホッチキスの定義が「複数の紙を綴じる文房具」だったとすると、この定義を信じているうちはホッチキスを紙を綴じること以外には使わないだろう。
しかし、ホッチキスには紙を綴じるよりもっと得意なことがあるかもしれない。インテリアとして使えるかもしれないし、綴じる時の「ガチャン」という音が楽器になるかもしれない。このようにして新しい商品開発のアイデアが生まれる。
ビジネスでも定義を変えることで、劇的に成果を上げることは可能だと鈴木氏は言う。
これまで信じていた言葉の定義を疑って、自分なりに作り替えてみよう。それはそのまま「思考のフレーム」から抜け出すことなのだ。
◇
本書は、「バカシステム」を抜け出す方法を授けるとともに、抜け出した人に向けて特に明確な目標がなくても人生を成功させることができるメソッドを紹介している。
著者によると「目標を定めて、そこに向けて努力しないと夢は叶わない」もただの思い込みだそう。本書を読めば、自分が考えている以上に、人生が可能性に満ち溢れていることに気づくだろう。
(新刊JP編集部)
関連記事
・
「勉強とはコミュニケーションである」 子どもの勉強へのモチベーションが変わる考え方とは?
・
約1万人の人脈を持つ芸人が明かす、のしあがるためのSNS活用術
・
伝説のパンクロッカーから芥川賞作家になった男が語る「小説のライブ感」町田康インタビュー(1)
・
「仕事を楽しみたい」と思っているすべての社会人へ