どんな仕事をしていても、体に痛みや凝りを感じることがあるはず。一過性のもので、自然に良くなるならいいのですが、問題は慢性化してしまっている場合。
マッサージや整体に通っている人は多いと思いますが、その効果は一時的なもの。時間が経てばまた症状が出てきます。それならば自分の痛みに対してのセルフケアの方法は身につけておいた方がいいかも。
今回は『体の痛みが13秒でスーッと消える! すごい整体』(SBクリエイティブ刊)の著者で、独自に編み出した「FS整体」を提唱する上原考一さんに、体の痛みや凝りを軽減させるための考え方や具体的な方法についてお聞きしました。その後編をお届けします。
■体の痛み改善のカギ「ゼロポジション」とは
――セルフケアについてもお聞きしたいです。各部のセルフケアのくわしい方法はここでは省略しますが、基本的には「ゼロポジション」という脱力した体勢を作って、ゆらゆらと患部を揺らすことで筋肉を弛めていくということですか?
上原:そうですね。患部だけでなく、連動している周辺の筋肉も動くことになるので、広い範囲の緊張が緩んでいきます。
先ほどもお話しましたが、筋肉の筋肉はつながっていますから、患部の筋肉だけにはたらきかけてもダメで、その周りの連動する筋肉にもはたらきかけないと、根本的な解決にはつながりません。
――「ゼロポジション」というのはどう理解すればいいのでしょうか。
上原:要は患部がニュートラルな状態です。肩にしても腰や他の部分にしても、慢性痛の場合どんな体勢を取っていても痛いということはあまりないはずで、痛みがない楽な状態が必ずあります。それは、言い換えれば「可動域にあそびがある状態」ですから、そこから少しずつ動かして、可動域を広げていくということですね。
――「心因性の痛み」というのも初めて聞く言葉でした。
上原:これは脳の働きによるものです。 慢性痛の場合、長期間毎日痛みを感じ続けるわけで、それによって痛みが脳に刷り込まれるといいますか、脳が痛みを学習します。そうなると実際の状態以上に「痛い」と認識してしまうんです。本人も「この動きをすると痛い」と思い込んでしまう。
だから、痛みを改善するには、まず脳の痛みの認識を解除してあげないといけません。そこで、ゼロポジションが重要になるわけです。患部が痛くない態勢を作って、そこから少しずつ体の形を変えていくと、普段痛くてできなかった動きができたり、それまで曲がらなかったところまで体が曲がったりする。
それによって「痛くない、うごく」という感覚をもう一度脳に認識させることが痛みの改善には重要なんです。
――自然治癒力を高めることの重要性についても書かれていました。この自然治癒力を意識的に高める方法がありましたら教えていただきたいです。
上原:本の中では生活習慣についても書いていますが、まずは痛みが良くなるというイメージを持つことが回復を早めるためには大切です。
このイメージができている人は、「動きを変えたら痛みが軽減した」という経験をすると、それをきっかけにすごく良くなる。治る方向にスイッチが入るんです。
――スイッチが入るというのは、先ほどのお話にあった「痛いという思い込み」が解けたということですか?
上原:そうですね。ただ、「ここを弛めればこの人の痛みは良くなる」というフィジカルな意味での「スイッチ」もあるんです。それを見つけて、痛みの改善のサポートをするのが私の仕事です。
――最後になりますが慢性的な体の痛みに苦しんでいる方々にメッセージやアドバイスをいただければと思います。
上原:今は様々な情報が錯そうしているので、情報に流されないようにしていただきたいですね。
情報自体は有用なものですが、人によって合う合わないというのは必ずあります。それに気づくためにも自分の感覚は大切にしていただきたいです。
体の痛みについても、様々な方法が情報として入ってくると思いますから、まずはいろいろ試してみて、効果があると感じたことをやればいい。今回の本で書いているやり方も、試してみて害のあるものではないので、ぜひやってみていただきたいです。
(新刊JP編集部)
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