アロマという言葉を聞いて、「雑貨屋で買ったアロマキャンドル」、「リラクゼーションサロンで受けたオイルマッサージ」といったものを思い出す人は少なくないでしょう。しかし近年、アロマは、「癒やし」の場のみならず医療の現場でも活用されており、その効能が注目を集めているのです。
『アロマセラピーを仕事にする[改訂版]』(幻冬舎/刊)の著者、菅野千津子さんは、エステティシャンとして15年活動した後、2000年にアロマスクール「ラヴァーレ」を開校。現在では、自身もアロマセラピストとして活躍しながら、後進の育成に力を入れています。
本書は、アロマに関する最新情報はもちろん、「アロマとは?」「アロマセラピストになるには?」といった基本情報を網羅的に取り上げている一冊。ここでは、その内容の一部をご紹介しましょう。
■そもそもアロマって何?
アロマの歴史をひも解くと、太古にさかのぼります。もともとは、感染症の予防、病気や傷を治すために芳香植物を使っていたようです。
このような背景があるため、ヨーロッパではアロマを医療行為のひとつとみなしています。たとえばフランスでは、医師免許を持っていないとアロマを処方できません。
では日本において、アロマはどのように使われているのでしょうか。精油を焚(た)く、お風呂に数滴垂らすといった具合に、日常生活に取り入れるケースが一般的ですが、最近では、生理痛を和らげるために使われたり、ターミナルケア(終末期医療)の現場で、患者をリラックスさせるために使われたりすることもあります。
■アロマセラピストって、どんな仕事?
「アロマセラピーを仕事にする」と聞いて、あなたはどんな仕事をイメージしますか? 「アロマオイルを使ってお客さんにトリートメントをする仕事」が真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。それだけでなく、スクール講師や、アロマ専門店で精油選びのアドバイスをする仕事など、多岐に渡った職業があります。
また、アロマの世界は奥が深く、禁忌事項もあるため、正しい知識が必要です。たとえば、ホルモンバランスを整える作用があるアロマは生理不順に効果的ですが、妊婦さんに使ってしまうと早産を招く可能性があるそうです。
そのため、アロマセラピストとして活動するには、正しい知識と技術を身につけなければなりません。アロマセラピストになるためには、JAA(日本アロマコーディネーター協会)、NARD JAPAN(ナード・アロマテラピー協会)といった協会の認定資格を取り、知識を深めていくことが一般的です。
■「アロマ」×「●●」 組み合わせ次第で可能性広がる
アロマセラピストの資格取得を目指す人にとっては、どのような場でアロマが求められているのかも気になるところ。本書の巻末インタビューでは、アロマのさまざまな分野での活用例が紹介されています。
抗加齢学の第一人者である久保明医学博士は、アロマの効果を数値化・検証する活動を行っており、老化に関係するホルモン“DHEA-s”とアロマとの関係に注目しています。
加齢とともに分泌量が減ってしまうと言われている“DHEA-s”。動脈硬化や骨の問題にも大きく関わってくるようですが、久保博士いわく、アロマセラピーによるトリートメントを行うことで分泌量が上がるケースもあるそうです。
インタビューでは他にも、心理カウンセラーが「自然治癒力のサポーター」としてアロマの可能性を語ったり、「なでしこJAPAN」のアロマケアを手がけるセラピストが選手の状態に合わせて施術を行う方法を明かしたりと、アロマの活用の場が広がりつつあることを実感できます。
本書では、ここで紹介したトピック以外にも、アロマセラピースクールの選び方から開業準備のポイントまで、スクール卒業生の事例を紹介しながら具体的に解説されています。アロマ初心者だけでなく、アロマの世界にもう一歩踏み込みたい人にとってもおすすめの一冊です。
(新刊JP編集部)
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