来年行われるアメリカ大統領選挙に共和党から出馬を表明しているドナルド・トランプ氏の炎上が止まらない。
12月7日に自身のウェブサイトで発信した、イスラム教徒のアメリカ入国禁止を要求する声明はアメリカを超えて全世界からバッシングを呼び、イギリスではトランプ氏の入国禁止を求める署名運動まで起こっている。総資産41億ドルという大富豪ぶりに加えて歯に衣着せぬ発言で注目を集めてきた氏だけに暴言、失言はお手のものといったところだが、今回ばかりは分が悪いようだ。
しかし、実はこのトランプ氏、稀代の実業家であり世界的な大富豪ということもあって、もっとお金を稼ぎたい人、金持ちになりたい人にとってはある種の「カリスマ」であり、人気が高いのだ。事実、日本でも氏の著作は多く出版され、その種の人々への訴求力を垣間見ることができる。
■『トランプ自伝―不動産王にビジネスを学ぶ』(筑摩書房/刊)
一代で「不動産王」として莫大な資産を築きあげたトランプ氏の成功要因に迫る。ビジネスのノウハウ本として、交渉力や発想力など氏のビジネス強者としての才能がいかに培われたのかがつづられた半生記として読むことができ、amazonのレビューにも「ドナルドトランプの男としての大きさが伺えます」「人物伝として読んで為になる」など肯定的なコメントが多い。
■『あなたに金持ちになってほしい』(筑摩書房/刊)
「金持ち父さん」ことロバート・キヨサキ氏との共著であり、「大富豪二人が人生哲学を披露する」といった、いわゆる「自己啓発書」の色合いが強い。富豪の考え方を知れば富豪になれるというわけでもないだろうが、とにかく金持ちになりたいという人にとっては貴重なアドバイスだろう。
■『金のつくり方は億万長者に聞け! 大富豪トランプの金持ち入門』(扶桑社/刊)
こちらはより実践的な「金儲けのコツ」がつづられ、本国アメリカで50万部のベストセラーとなった著作。
いかにも成金といった表紙とは裏腹にamazonでは「まともなことを言い、仕事を楽しみつつよく働いていることが伝わる」「ストイック」といった評価も。
■『敗者復活』(日経BP社/刊)
実はトランプ氏、1990年代前半に不動産ブームがしぼんだため、自身が所有する複数の子会社が経営破たんする憂き目にあっている。そこから数年で見事にカムバックし、今の地位に昇りつめたわけだが、その復活が本人によって語られる。
■『明日の成功者たちへ』(PHP研究所/刊)
「成功者」という表現自体いかにもアメリカ人が好きそうだが、トランプ氏ほどの成功者はなかなか見つかるまい。その意味で説得力はある。
内容はというとこちらも自己啓発書で、栄光も転落もこれでもかというほど味わっている氏が若い世代にメッセージを送るというもの。
その自己顕示欲の強さはかねてから語られてきた通りだが、著作の数々からもトランプ氏の「俺はすごい!俺を見ろ!」精神の強烈さは存分に味わえるはずだ。
もしかすると今回の声明もその自己顕示欲ゆえのものだったのかもしれないが、さすがにやりすぎたということだろうか。
「俺を見ろ!」が高じて「トランプは見たくない!」となっているのならお生憎様、といったところだが。
(新刊JP編集部)
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