大人を相手に何かを教えるって難しいですよね。
子どもに教える場合なら、相手は確実に自分より年下で経験も浅いので、何も考えずに教えられます。しかし、大人はそれぞれに経験を積んできていて、自分なりの考えを持っています。だから、年上の部下やプライドの高い新人になかなかうまく教えられずに苦労する、ということが起きてしまうわけです。
『オトナ相手の教え方』(クロスメディア・パブリッシング/刊)には、そんな教え方の悩みを解決するコツが紹介されています。
■教え上手と教え下手の違い
教え上手と教え下手の違いは、ずばり、「相手本位かどうか」です。教え下手の人は、教わる側の気持ちを理解せず自分が教えたいこと、伝えられることだけを伝えます。よって専門用語が多くわかりづらい説明になってしまったり、高圧的な物言いになってしまったりするのです。対して、教え上手な人は、相手の立場に立って考えて、教わる側が何をわかっていないのか把握したうえで、的を射た説明をします。
■100人いたら100通りの教え方
では、どうすれば相手の立場に立つことができるのでしょうか。
そのために必要なのが、「自分と相手は違う」と理解することです。性格や年齢、価値観など、全て同じ人間はいません。同じ内容を教えるにも、相手の立場に合わせて教え方を微調整していく必要があります。相手はどんな性格なのか、現状の知識や技術はどのくらいなのかなどを考えながら教えていきましょう。国籍が違う人に教える場合には、文化の違いへの配慮も必要です。
■命令するような教え方は×
教えるとは、無理やり「こうしなさい」と詰め込むようなことではありません。「うちの会社に入ったからにはうちのやり方に従え!」と、相手が新人であっても、彼らのそれまでの経験や価値観を無視したような教え方は、「組織社会化」という研究分野では「はく奪的な教え方」と呼ばれています。
中途採用で経験のある人や高学歴の新卒には「今までにこの仕事をやった経験はありますか?」などと説明の前に質問をしましょう。こうすることで、相手のレベルを把握するとともに相手の立場を尊重する姿勢を示すことができます。
■プライドの高い人にはどう対応する?
言葉使いや細かい仕事のプロセスなど、変えてほしい行動があってもプライドの高い大人に変えてもらうのは至難の業ですが、不可能ではありません。ここで重要なのは、「この人に言われたなら」と思われるような信頼関係を築くことです。
信頼してもらうためにまずは相手の良い点を褒め、そこから改善点の話に繋げましょう。また、一度にたくさんのことを指摘するのではなく、まず指摘する点は1つに定めましょう。
■ひとりで教えない教え方
「自分の仕事をこなしながらやらなければいけない」というのも、誰かを教える難しさの一つでしょう。通常業務をおろそかにしないためにも、指導は一人で抱え込まず、複数人で教えることも考えるべきです。
有効なのは「人脈マップ」を作ること。人脈マップとは、「資料作成の方法なら同じ部署のAさん、交渉については営業のBさんが詳しい」などの情報をまとめたものです。ここにそれぞれの趣味などの情報も載せて教える相手に渡せば、彼らが自主的に教えを乞う助けになります。
■部下は上司を選べない!
教える側にも不安はあるものですが、教わる側の不安や疑問は教える側よりもずっと大きいものです。子が親を選べないように、部下も上司を選べません。だからこそ、自分本位ではなく相手本位の姿勢で新人の疑問や不安に応えていきましょう。
ここでポイントなのが、「過保護になりすぎず放任しすぎない」こと。そして、相手が困った時にいつでも声をかけられる雰囲気にしておくことが大切です。
この本の著者は、企業研修で「現場での仕事の教え方」を指導してきた「人材育成の専門家」。本書では、プロだからこそ知っているオトナ相手の教え方や、「教えるときの困った」を解決するコツが数多く紹介されています。
「教えたことを理解してくれない」「聞く耳を持ってくれない」困ったオトナに手を焼いている人は参考にしてみてはいかがでしょうか?
(新刊JP編集部)
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