もし猫が、ブッダのことばがまとめられている原始仏典『ダンマパダ』を読んだら、どのように解釈するのか。
なにやら突飛な話だが、猫の視点でブッダの言葉を紹介する本があるのだ。
それが『猫ブッダは悩まニャイ』(宮下真/著、ワニブックス/刊)である。
人間というものを見ていると、いつも人生について思い悩み、苦しんでいるものだから、人はなぜ悩み、つらい思いをしているのか知りたくなった猫がいた。あるとき、飼い主の机の上にあった仏教の最も古い経典『ダンマパダ』を完読する。
本書は、猫目線の解釈も交えて、ブッダの教えをわかりやすく綴った生き方指南本だ。
■幸福な人生とは一体何か?
何か問題が起こったとき、力になってくれる友人はいるだろうか。ブッダは、よき友がいること、満足すること、善行を積むこと、苦を脱すること、これらはみな楽しいと言っている。苦悩は消えて、よき友がいて、小さな満足を楽しむ、その人生は幸福ですよということだ。
どんなに情報が自由に手に入る世の中になっても、自分ひとりでは解決できないことはたくさんある。核家族化などが進み、家族に頼るわけにはいかない。未婚率も上昇していて、単身生活者は今後増加していくことが予想される。家族を持たないまま年を取る人が増えるのだから、何かあればすぐ駆けつけてくれる親友と呼べる存在は、ますます大切になってくる。つらいときだけでなく、嬉しいことやおめでたいことがあったとき、我がことのように一緒に喜び、祝ってくれる親友がいれば嬉しさも倍増する。誰にでも、よき友の存在が人生を豊かにしてくれると実感できる瞬間があるはずだ。
■「ダンマパダ」とは一体どんな経典なのか?
ネットやテレビからは情報があふれ、著名人や歴史上の人物の名言集が人気を博する。あらゆることばがものすごい勢いで消費されていく。そんな中から、「人生の真理をついた言葉」や「生きる力を与えてくれる言葉」を、人は期待しているのかもしれない。
およそ2500年前、ブッダが各地で行った説法を聞くことは、そうしたことばと出会う貴重な体験を人々にもたらした。
本書で紹介している『ダンマパダ』という経典の名は、パーリ語でそのまま「真理の(ダンマ)ことば(パダ)」という意味だ。ブッダの言葉に感銘を受けた人々によって伝承・口伝された話の内容が、後世の人たちの手でまとめられたもので、文字通り真理のことばがたくさん詰まった経典といえる。
無益な一千のことばより、心の静まる有益な一言のほうがよい。ブッダをはじめ、有名な経営者、哲学者からでも、自分自身のためになることばを見つけることができると、つらいときや悩んでいるときの救いになるはずだ。
猫界で初めて『ダンマパダ』を完読した猫として、これを紹介し、世の中に役に立てられニャイかなと考えて書かれた本書。
人生で大切にすべきことは何か。そんなことを改めて気づかせてくれる一冊だ。
(新刊JP編集部)
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