仕事で成功する上で重要なものといえば、コミュニケーション能力や人脈をつくる力といった対人能力があげられるものですが、実はそれらと同じくらい必要な能力があります。
それは“一人でひきこもる力”です。
『こもる力』(角川学芸出版/刊)はITコンサルタントでの市村よしなりさんが、自分自身の半生をたどりながら、「一人でこもること」の重要性を説く一冊。
つながることが良しとされる昨今ですが、時代を動かしてきた成功者たち――孫正義氏、スティーブ・ジョブズ、兼元謙任氏ら――は「こもる力」を駆使してきたと著者は述べます。
では、どうして「こもる」時間が必要なのでしょうか?
■何もしていないときに脳は最大限に活動する
「こもる」時間はアイデアを出したり、何かを判断する上でとても大事です。
一人で何もしていないとき、脳は活発に働いているという脳神経科学の研究データもあるそうで、「なにもしない時間を積極的に作ることで、ビジネスに不可欠な、論理的に分析・判断し、未来を予見する力が高まる」と著者は指摘します。確かに日々忙しく過ごしていれば考えを整理する時間もなかなかとれません。一人で「こもる」ことは自分自身の整理をする上でも大事なことだと言えます。
■一人の時間は自分自身を整理する時間
ただ、一人でじっとしていることが苦痛だと考える人もいるでしょう。
ですが、毎日膨大な情報量を目にし、人からいろいろな話を聞くなかで、どんどん心は騒がしくなっていきます。そして自分を見失ってしまうことも…。
そんな人こそ、立ち止まって、一人で静かに情報を整理する時間が大切です。「一人で過ごす人は寂しい人」ではありません。しっかり物事を考えられる人だともいえます。
もし、気持ちがどうしても焦ってしまう人は一人でこもって、自分自身を省みてはいかがでしょうか。スッキリするかもしれませんよ。
本書は「自分とのコミュニケーション」を大切にして、自分の内面と向き合うことで、自分らしく、創造的な人生を生きていく方法を伝授してくれます。
また、著者の市村さんの半生も読みどころの一つ。小学生の頃からビジネスをはじめ、外から見ると不思議に思うであろう市村さん流の「家庭生活」、さらには「人生はゲームだ!」という哲学まで、一つ一つの文章に驚きを発見できる一冊です。
(新刊JP編集部)
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