仕事でも、家庭でも、イライラすること、腹立たしいことってありますよね?
でも、そのたびに怒っていたら体が持ちませんし、かといって溜めこむのもストレスになります。
なんとか、上手に怒りやイライラと付き合いたいものですが、これは決して不可能ではありません。『イラッとしない思考術』(ベストセラーズ/刊)の著者、安藤俊介さんによると、怒りも苛立ちもトレーニングによってコントロールは可能なのだとか。では、そのトレーニングとはどのようなものなのか、安藤さんに聞いてみました。
――『イラッとしない思考術』についてお話を伺えればと思います。かつては安藤さんご自身もイライラしやすい性格だったということですが、たとえばどのようなことに苛立っていましたか?
安藤:仕事での人間関係について苛立つことが多かったですね。僕は以前、ある会社で新規事業を立ち上げる部署にいたんです。新規事業っておうおうにして、既存事業に関わっている人からは「また金にもならんことを……」という目で見られるわけで、反対勢力が大きいんですよ。たとえ社長の肝いりで始めた事業だとしても、他の人はみんな反対しているということも珍しくありません。新しいことをやらないと会社はジリ貧だとわかっているのに、社内の反対勢力との調整に労力を割かなければいけないという状況にはすごくイライラしていました。
――私生活の方はいかがですか?
安藤:私生活の方はそこまでイライラすることはなかったですね。仕事がほとんどでした。
ただ、僕自身は社会に出てからイライラしやすくなったのかなと思っていたのですが、友人に聞くとどうやらそうではなくて、子どものころからそういうところはあったみたいです。だから、自分で気付いていなかっただけで、普段からイライラしていたのかもしれませんね。
――そんな安藤さんがイライラしなくなったきっかけが「アンガーマネジメント」だったということですが、「アンガーマネジメント」とはどのようなものですか?基本的な考え方を教えていただければと思います。
安藤:勘違いされがちなのですが、「アンガーマネジメント」を行うことで「怒らなくなる」わけではありません。怒ることが必要な場面というのはありますし、怒らないといけないこともありますから。
では「アンガーマネジメント」の目的は何かというと、怒るべきことについては上手に怒れるようになり、怒らなくてもいいことついては怒らないようになる、その線引きができるようになることなんです。
普段、我々は怒っても怒らなくても後悔しがちで、それはこの線引きができていないからです。怒るべきことと怒らないことを判断できるようになれば、こういう後悔はなくなっていきます。
――今おっしゃった「線引き」についてですが、そこで「怒る必要がない」と判断されたことはどうなりますか?あまり気にならなくなるということでしょうか。
安藤:「アンガーマネジメント」は基本的に「衝動のコントロール」「思考のコントロール」「行動のコントロール」の3つで構成されています。
「衝動のコントロール」は、簡単にいえば「イラッとしても、反射的に行動しない」ということで、「思考のコントロール」は「そもそもイライラしなくなるためには物事をどう考えればいいか」ということです。最後の「行動のコントロール」は「それでもイライラしてしまった時はどうするか」ということですね。
この順番にアンガーマネジメントのトレーニングは進んでいきますから、最初はイライラした時に反射的に行動しなくなります。それができてくると、今度はイライラしない考え方ができていき、最後には自分の感情をコントロールしたうえで適切な行動や表現ができるようになっていきます。
―最初にクリアしないといけない「衝動」ですが、イライラした時に反射的に怒りをぶつける行動をしないためのポイントはありますか?
安藤:私たちは「6秒ルール」といっているのですが、「イラッとしたらとにかく6秒待ちましょう」と指導しています。
感情にはいろいろな役割があるのですが、その一つが、体からホルモンを出させるというものです。たとえば「怒り」を感じると、体からアドレナリンが出ます。秒数については諸説あるのですが、アドレナリンが出て、それが体中の隅々まで行き渡り、吸収されて消えるまで大体6秒くらいだとされているんです。
この間は、生物学的に体は怒っている状態であり、これより後はもう身体的には怒っていないという状態になります。だからこの6秒間をしのげれば、怒りによってまちがった行動を取ってしまう可能性を減らすことができ、よりよい選択ができるチャンスが広がるということですね。
(後編につづく)
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