世界で紛争が起きている今、日本も厄介な隣人を抱えています。
その一つが石垣島の北にある尖閣諸島の領有権を主張する中国。尖閣諸島付近では、日本の海上保安庁の巡視船と中国の漁船や監視船・軍艦などがにらみあい、実際に中国海軍が自衛隊の護衛艦に対し射撃レーダーを照射して威嚇したり、中国空軍戦闘機が約30メートルまで接近するという挑発行為を行っているといいます。
これは、いつ軍事的衝突がおきてもおかしくない緊張状態が生起しているということです。
では、この緊迫する日中関係のこじれが加速し、日中間で軍事衝突が生じた場合、一体どうなるのでしょうか。はたして自衛隊は勝つことができるのでしょうか?
『自衛隊は尖閣紛争をどう戦うか』(祥伝社/刊)は武力衝突が起こり、どのようにその戦いが展開されるのかを防衛のプロたちが想定する一冊です。
西村金一氏は元自衛隊の情報分析官、岩切成夫氏は元航空総隊幕僚長、末次富美雄氏は元護衛艦艦長という、自衛隊の陸・空・海の元幹部3人が最新の軍事知識を駆使して、尖閣沖の戦いの全貌をシミュレーションしていきます。
本書のシナリオは大きく武力紛争前と紛争勃発後の2つに分けられています、
紛争前のシナリオは「平時から本格的武力紛争に至るまで」として「平時」と「情勢緊迫(中国偽装漁民の尖閣上陸)」が描かれ、紛争勃発後のシナリオでは、「本格的武力紛争」では「中国軍の尖閣上陸」「日本の尖閣奪回」及び「米軍参戦」のシナリオが用意されています。そして、最後に紛争終末の段階として「日本尖閣確保及び維持」までが記述されており、どのように戦局が進んでいくのか、その一連の流れが分かります。
著者の一人である西村氏は、ここでシミュレートされる「尖閣沖の戦い」は、これまでに人類が経験したことのない戦いになると、「あとがき」で述べています。
そこで繰り広げられるのは、最新兵器の長射程ミサイルを相互に射ち合う「ミサイル合戦」。空、海上、そして海中からもミサイルが飛び交うという、前代未聞の戦いです。
何日続くか、双方の損害はどれほどか、そしてアメリカ軍はいつ、どのような形で助けにきてくれるのか。特に岩切氏による空軍の展開を予測する迫真の記述は、息を飲まれます。
また、シナリオに登場する戦闘機やミサイルなどの解説も充実しており、今の日本の軍事の最先端を垣間見ることができます。
シミュレーションとはいえ、日中武力衝突の危機は常に存在しています。だからこそ、本書を読んで知識を身につけておく必要があるはずです。
(新刊JP編集部)
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