“毒親”という言葉が話題になっています。
毒親とはいわば「子どもにとって毒となる親」のことで、子どもが成長してからも負担となる困った存在です。
子どもを怒りで支配したり、暴力をふるうことも。夫婦関係の歪みも毒親になってしまう大きな原因の一つだとされています。
子育てには悩みがつきもの。そこで自分のことばかり考えていたら、子どもは不幸なことになってしまいます。
『この「魔法のメガネ」で、子どもの心が見えてくる』(七田厚、澤谷鑛/著、学研パブリッシング/刊)は“七田式”で知られるしちだ・教育研究所の七田厚さんと心理カウンセラーの澤谷鑛さんによる、子育てに悩む母親へのアドバイスがつまった一冊。
ここでは、本書の第1部のQ&Aを参考に毒親にならないためのアドバイスをご紹介します。
■イライラすると、つい声を荒げてきつくあたってしまう…
まったく感情的にならず、イライラしないというお母さんはまずいません。疲れがたまれば気持ちも荒れるものですが、その荒れた気持ちを子どもにぶつけない術を身につけることが大事です。
七田さんはまず、「自分の支配下にある人間」という目で見るのをやめて、自分は子どもの応援団であり、人生の先輩であるという立場でいようと言います。「親しき仲にも礼儀あり」という心が持てれば、感情的にきつく叱ったり、ポンポンと当たり散らしたりということは少なくなるはずです。
もしそれでも声を荒げてしまったら、後で子どもに謝りましょう。母親の素直な態度は子どもに伝わり、許してくれるはず。また、この姿勢は子ども自身が友達と感情的にけんかをしたとき、どうやって仲直りすればいいのか学んでくれるはずです。
■家事や育児に協力しない夫に腹が立つ…
夫婦や親子は特別な関係だと思いがちですが、基本的な部分は普通の人間関係と同じです。相手の悪いところばかり目を向けるのではなく、良いところに目を向け、ほめることをしなければ、関係は良くなりません。
イライラしているだけでは状況が改善しないので、話すべきことは話し合い、ご主人の協力を求めるべきだと七田さんはアドバイスします。また、協力を促すときは「わたしはこれとあれをやっていて、時間的にも体力的にもつらいの、この中であなたができることを手伝ってほしいのだけど、何か手伝ってくれる?」と具体的に自分の状況を伝える方法があります。
そして、お互い協力し合ったことに対して「ありがとう」という感謝のメッセージが生まれはじめると、2人の関係は良くなるはず。健全な関係は、お互いが大人になってこそ育まれるのです。
■何度言っても聞かないときのゲンコツは絶対いけないもの?
しつけをする上で、子どもを叩くことは必要かどうか。この問いについて、七田さんは「原則的には叩いて教えることは良くない」と言います。なぜなら、叩く子育てをしていると、子ども自身も叩くことを覚え、暴力的な子どもに育ってしまうからです。
その一方で、「絶対にいけないか」という判断は難しいところだとも述べます。
だから、家の中で「これだけは許してはいけない」という取り決めを定め、子どもにそれを伝えておくようにしましょう。「嘘をつく」「命にかかわる危険なことをする」など、ルールを決めておき、「今度そのルールを破ったら叩きます」と予告しておくのです。
それでも悪ふざけをしてルールを破る場合は、罰則を与える必要がある場合もあると七田さんは言います。ただ、叩くというのも、手の甲やお尻程度にとどめるべきで、頭を叩くことは絶対にしてはいけないともつづっています。
怒鳴り散らす、暴力をふるう、夫婦仲が悪いのが見える…これらは子どもに大きな悪影響を与えてしまいます。子どもとの接し方を振り返ってみて、もし心当たりがあれば見直してみてください。
『この「魔法のメガネ」で、子どもの心が見えてくる』は他にも「子どもが言うことを聞いてくれない」「ひとりっこでわがままに育ってしまわないか心配」「携帯ゲーム機を与えるべき?」など、さまざまな悩みに対して丁寧に答えてくれます。また、第2部では澤谷さんによる子育ての悩みをめぐる物語が掲載されており、共感を抱くかも知れません。
子育てのモヤモヤを一人で抱えていると、自分だけでなく周囲にも悪い影響を及ぼしていきます。悩みがある場合は、まずアドバイスに耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
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