いよいよ来月はサッカーワールドカップブラジル大会が開幕する。
着々と戦闘態勢が整いつつある日本代表が、コロンビア、コートジボワール、ギリシャといった強豪揃いのグループリーグを突破できるかというのは、普段サッカーを見ない人でも気になるところ。ほとんど地球の裏側にあるブラジルまで観戦に行く予定だというサッカーファンもいるはずだ。
しかし、常々治安が悪いと言われる中南米の中でも、スリ、引ったくり、強盗の多発など、まったくといっていいほど良い噂を聞かないのがブラジルだ。一体現地はどんな雰囲気なのか。
ここでは、旅行作家として世界を旅し、その体験を記した著書を発表しつづけている嵐よういち氏の『世界中の「危険な街」に行ってきました』(彩図社/刊)からその一部を紹介する。
■強盗多発!サンパウロの治安事情とは
現在ワールドカップのホームスタジアムとして使用予定の「アレーナ・デ・サンパウロ」が建設中のサンパウロはブラジル最大であり、南米最大の都市。それだけに、観戦旅行に行ったら訪れる人は多いはずだが、嵐さんが「このような危険な街でワールドカップを開催して大丈夫なのだろうか?」と不安に思うほど、少々どころでなく物騒な街のようだ。
何しろ、サンパウロ州保安犯罪統計によると、州内の殺人事件は、1日平均約13件(2011年2月)。また、少し儲かっている店には「挨拶代わりに強盗が入る」というほど、強盗の発生件数も多い。その数実に1日平均826件。
日本人からすると信じがたい数字だが、これが現実なのだ。
本書では、現地で誘拐された日本人の談話や、強盗に遭った新聞記者の体験談などが取り上げられ、なかなかに生々しい。特に新聞記者は、両替をしたところを犯人グループに見られ、後をつけられての被害だったということもあって、旅行者も教訓としておきたいところだ。
■リオデジャネイロには巨大スラム「ファベイラ」が
W杯で使われるスタジアムで最大の収容人数を誇る「マラナカン」があるリオデジャネイロだが、ここには映画『シティ・オブ・ゴッド』で有名な「ファベイラ」がある。
不法占拠された山肌に、レンガや廃材で作られたバラックが一面に立ち並ぶこのスラム街はギャングの巣窟とも呼べる場所で、もちろん治安がいいはずもない。訪れた際は、立ち入らないことはいうまでもないが、市内全域で盗難や強盗、スリ、ひったくりには充分注意が必要だ。
ワールドカップだけでなく、2016年には夏季オリンピック、パラリンピックも控えているとあって、ブラジル当局も治安改善に力を入れてはいるものの、どこまで効果が出るかは不透明。
観戦に行くという人は、考えうる限り最大限の注意をして、楽しい旅にしてほしいものだ。
(新刊JP編集部)
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