4月1日、日本政府が昨年12月に定めた「国家安全保障戦略」に基づき「防衛装備移転三原則」を閣議決定したことは記憶に新しい。これは、事実上の武器全面禁輸であった「武器輸出三原則」に代わる新しいルールで、安倍晋三内閣は武器輸出の解禁に踏み切ったと話題にのぼった。
この「武器輸出三原則等」の撤廃を4月1日以前から主張していたのが、ノンフィクション作家の関岡英之氏と、元航空幕僚長の田母神俊雄氏だ。
2人の対談を収録した『日本は「戦後」を脱却できるか』(祥伝社/刊)は3月に出版された一冊だが、本書の131ページで撤廃を訴えているのだ。そのこともあり、2人の政策提言が現実になったとにわかに注目を集めている。
この本は、帯に「救国兵談」とあるように、「この国を救う」ために防衛・軍事分野を中心としつつ、憲法や歴史認識などタブーとされてきた「戦後レジーム」からの脱却について2人の日本人が語り尽くす内容になっている。
■そもそも「戦後レジーム」とは一体何か?
「戦後レジームからの脱却」という言葉は、安倍晋三内閣の一つのスローガンになっているが、そもそも「戦後レジーム」とはどのようなものなのだろうか。
関岡氏はそれを「アメリカの占領遺制」だという。
日本は戦争に敗れた後、GHQによる占領統治を経て、サンフランシスコ講和条約発効で「主権を回復し独立した」ことになっている。
そこに疑問を投げかけるのがこの2人である。
日本の独立は「日米同盟」という裏書なしには成立しないものではないだろうか。押し付けられた平和憲法、旧日本軍(陸海軍)の解体、理不尽な極東国際軍事裁判(東京裁判)の3つが、日本の「戦後レジーム」の中核を成しており、これらはすべてアメリカが主導したものだと2人は声をそろえる。つまり、関岡氏の指摘する「アメリカの占領遺制」が現代に至るまで続いているということなのだ。
■「戦後レジームからの脱却」に必要なものは?
「平和憲法」「旧日本軍の解体」「理不尽な極東国際軍事裁判」の3つの中核から成る「戦後レジーム」から日本が脱却するために、2人は3つの要諦を提示する。
(1)自主憲法の制定
(2)国防軍の創設
(3)東京裁判史観の克服
この3つを見ると、「軍国主義の復活だ」と批判する人もいるかもしれないが、終戦70年を来年に控えた今年、日本の戦後を見つめ直すことはとても大事なことだ。
田母神氏は「国家の自立とは国防の自立、すなわち自衛隊の自立」だと指摘した上で、「自衛隊が国を守る力をつけなければ、ずっとアメリカの言いなりだ」と主張する。そして関岡氏は「日米同盟を発展的に解消せよ」と斬新な提言をする。
折しも4月23日から25日にバラク・オバマ大統領が来日、日本国民の目は日米同盟のあり方へと向いている。だからこそ、本書の提言はますます重要性を帯びるだろう。
また、本書は田母神氏にとって2月の東京都知事選を終えて出版された最初の本であり、あの選挙についても振り返っている。“田母神新党”の行方にも目が離せない。
日本は今、どうすべきなのか。軍事のプロと日米関係のプロの対談をじっくりと読んで欲しい。
(新刊JP編集部)
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