忙しいビジネスパーソンの中には、寝る間も惜しんで仕事をしている人もいるでしょう。そして、その結果、ついつい寝不足になりがちに…。しかし、寝不足になるくらい働いている自分に酔っていたりして、睡眠不足を軽く見ているところはありませんか?
睡眠不足が身体にとても悪いということは言わずと知れたことです。しかし、具体的な症状があまり出ないからといって軽視していると、実は大病になっているというケースもありえるのです。
『朝、スッキリ目覚め「いい眠りだったな」とつい言ってしまう本』(林田健一/著、主婦の友社/刊)の著者で、精神科医の林田健一さんは、働き尽くめのビジネスパーソンたちに対し、不眠の裏で進行する“かくれ症状”の存在に対して警鐘を鳴らしています。
■その不眠、実は「うつ病」かも?
その“かくれ症状”の正体は「うつ病」です。
これは林田さんのクリニックに相談にきたビジネスパーソンの話。その人は、いつも仕事に忙殺され、帰宅するのは深夜。毎晩終電に駆け込むころに疲労のピークを迎え、帰りの電車では居眠りをすることもあったそうです。
しかし、帰宅していざベッドに入ると、眠れません。さらに、起床時には頭痛に悩まされ、あまりの不快感に起き上がれないこともあるほどでした。本人は、この症状を過労による不眠だと思い込んでいましたが、結果的に「うつ病」と診断されたそうです。
うつ病の場合、とにかく休養することが大事です。そのままの生活を送っていたら、彼のうつ病は深刻になっていたことでしょう。ただの睡眠不足だと思い込んでいても、実は奥にもっと重大な問題が隠されている可能性があるので、少しでも「変だな」と思ったら診察を受けるようにすべきでしょう。
■そもそも睡眠不足にすら気づけない人たちもいる
日本人の5人に1人は不眠だと言われている時代。不眠の症状で悩んでいる人は少なくありません。
しかし、その一方で厄介なのが、自分が寝不足だとはつゆほども思っていない「睡眠不足症候群」が増えているということです。林田さんによれば、特に20~30代のワーカホリックの人に多いそうです。
こんな兆候は出てきていませんか?
・会議中に居眠りをしてしまう
・小さなミスを繰り返すようになる
実はこうした小さな兆候が睡眠不足の合図です。こうした自覚症状が出てきたら、睡眠を見直してみてください。本人は大丈夫と思っていなくても、パフォーマンスが落ちてきたら、それは体が休養を求めている証拠です。「寝だめをしているから平気だ」「それは分かっているけれど寝ていられない」という“言い訳”は、結果的にさらにパフォーマンスを下げることになります。
林田さんは、「とりあえず2週間だけでも仕事よりも睡眠を優先してみましょう」と提案します。毎日7時間の睡眠をとるだけで、仕事の効率はかなり上がるはずです。
本書では、睡眠の重要性だけでなく、睡眠の質を上げる方法についても書かれていて、睡眠に対する悩み全般をカバーできるようになっている、いわばハンドブック的な役割を果たしてくれます。
自分で読むだけでなく、会社内で睡眠に対する啓発として、みんなで一緒に読むというやり方もいいかも知れません。自分だけでなく、同僚や部下の様子をしっかりと見ることで、仕事でより高いパフォーマンスを維持できるはずです。
(新刊JP編集部)
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