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若いうちの無理は40代で来る? 対策と予防法とは

 世界最高水準の長寿を誇る日本ですが、その裏では、がんや内臓の疾患などにより、長い闘病の末、寝たきりになりながら亡くなっていく方が多くいます。

 やはり、理想的な死に方は“ぽっくり逝く”こと。つまり、老化にいる代謝や免疫、回復能力の不全が原因で静かに亡くなっていく「老衰死」です。では、若い世代にとっては、将来長生きしてぽっくり逝くために今のうちにできることはなんでしょうか。そして、これから退職後のセカンドライフを送ろうとしているシニア世代は、家族に迷惑をかけずに余生を過ごすにはどうすればいいのでしょうか。

 『100歳まで元気でぽっくり逝ける眠り方』(あさ出版/刊)の著者である、安眠ドクターの大谷憲さんと、血流カウンセラーの片平健一郎さんへのインタビュー、後編をお伝えします。
(新刊JP編集部)

■これで睡眠は変わる? 寝る前にすべきこと、してはいけないこと

片平:今、大谷さんがおっしゃったストレスはとても問題ですね。血管は生活習慣によって形が変わるもので、グニャっと歪んでしまったりするんです。大動脈はいわば高速道路のようなもので、実際に先まで血液を送り届けているのが毛細血管です。ところがストレスなどで血管がキュッと縮んでしまうと、送り届ける量が少なくなります。そうすると何が起こるかというと、心拍数が上がるんです。心臓への負担が大きくなる。逆にリラックスしていると血管が広がるので流れる量も増えるので、心臓はゆっくりになるんです。
現代のサラリーマンはとにかくストレスに溢れているし、それで無駄にご飯も食べていますからね。体への負担は重いと思います。

――長時間労働ももちろん良くないですが、今は特に座り仕事が多いですよね。そうなると輪をかけて良くないということになるのでしょうか。

大谷:座り仕事は血行が悪くなりますし、エコノミー症候群が怖いですよね。デスクワークが多い人はたまに貧乏ゆすりなどをするといいでしょう。また、深呼吸をするのも大事ですね。深呼吸を3回すると酸素が入れ替わって、副交感神経が優位になるんです。
座り仕事だと一呼吸おけないときもあるけれど、深呼吸とリラックスできるストレッチ方法を身につけるといいですね。

――では、よく眠れるようにするために、寝る前にしてはいけないことはなんですか?

片平:光による刺激は避けるべきですね。パソコンやテレビだけでなく、スマートフォンなんかもそうです。脳が覚醒してしまうので。

大谷:朝に見るのは良いんですけどね。光でいえば、ダウンライトは良いですね。

片平:ダウンライトと蛍光灯が点いている状態でどちらがしっかり眠れるかという実験データがあるのですが、ダウンライトの方がしっかりと眠れているというデータがあります。

大谷:また、老人介護施設ではダウンライトに変えただけで深夜徘徊が減ったという話もあります。だからしっかりと眠れるようにするには、ダウンライトが良いと思いますね。

片平:他にあるのは寝る前の食べすぎです。夜に食べてしまうと、血流が悪くなる。特に炭水化物はNGです。〆のラーメンとかよく言いますけれど、あれは避けるべきですね。

――逆にしっかりと睡眠が取れるようになるにはどうすればいいのですか?

片平:お風呂の入り方を工夫するといいと思います。いかに体がポカポカした状態で眠りに入れるかということを考えると、寝る前に30分ほどぬるま湯に入るといいですね。逆に熱すぎると交感神経を刺激することになるので、ぬるま湯でないと意味がありません。
一番理想は夜10時から夜中2時のゴールデンタイムに合わせることですから、10時に御風呂に入って、11時に就寝という流れです。

――この本で、夜のシャワーはやめなさいと書かれていましたが、意外でした。

大谷:今の季節は特に寒くて体が冷えやすいから、シャワーはやめるべきでしょうね。シャワーは交感神経を刺激するから、夜にシャワーを浴びるメリットは、睡眠という観点からいえばあまりないです。

片平:他に体をあたためる方法としては、しょうが湯やカモミールティーなんかもありますね。逆にお酒はほどほどにしておくべきです(笑)

大谷:寝酒は良くないですよ。寝つきがよくなると思われがちなんだけど、眠りが浅くなってしまいます。だから途中で起きてしまう。

――また、先ほど遠赤外線の体をあたためる効果が高いとおっしゃっていましたが、もう少し具体的にお話していただけますか?

片平:脳がリラックスできているか、手足の先を温かくできているかどうかが良質な眠りの条件です。そのためには体の中まであたためることが有用になってくるのですが、最適なのが遠赤外線を使うことです。先ほど温泉が良いという話もしましたけれど、これは遠赤外線の効果なんです。遠赤外線は表面だけではなく、体の中まであたためる効果があります。つまり「芯からあたたまる」ということですね。
よく電気毛布や電気敷布を使って体をあたたかくして寝ているという人もいますが、これはおすすめできません。なぜなら、体の表面しかあたたかくならずに、毛細血管の部分から水分が抜けてしまって血がドロドロになってしまう恐れがあるからです。ほかに、電磁波の体への影響も私は危惧しています。
体の深部まであたたまり、いつでもぽかぽかしている体づくりをするためには、遠赤外線が良いですね。体への負担もあまりありませんから。実はそれに最適なのが温泉なのですが、温泉が家の近くにあるという人は少ないでしょうから、電気を使用しない遠赤外線パットの使用をお勧めします。さらに一般医療機器であれば安心でよいですね。

――本書をどのような方に読んで欲しいとお考えですか?

片平:このタイトルを見ると、お年寄りの方に向けた本だと思われてしまいがちですが、もちろん高齢者の方も含んだ幅広い方に読んで欲しいと思っています。特に30代~40代の方に手にとってほしいですね。
なぜかというと、健康状態が良いときから予防をするのが長生きの秘訣だからです。データを見ると、だいたい40代を境に老化がはじまります。抗体の量も下がりますし、副交感神経をコントロールする力も少しずつ下がります。だから、40代になったときに一気にガタがきたと感じる人も多いのではないでしょうか。健康な人とそうでない人の差は年齢を追うごとにさらに大きくなるので、今、自分が無理をしていて、将来健康でありたいと思うのであれば、早期に生活を改める必要があります。

――では、最後にインタビューの読者の皆さまにメッセージをお願いします。

大谷:健康的でいられるには、あたため睡眠以上楽なものって実はないんです。寝るだけで良いのだから。だから、睡眠をしっかりすることを心がけてください。ぜひ本書を読んで健康になってほしいですね。

(了)

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『100歳まで元気でぽっくり逝ける眠り方』の著者、大谷憲さん(左)と片平健一郎さん(右)

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