尖閣問題や竹島問題、中国の防空識別圏問題などを巡ってこれまでにないほど緊張している日中日韓関係。
マスコミ報道を見る限り、韓国・中国ともに政府首脳をはじめとして反日的な言動が目立ち、それと呼応するように日本でも両国への不快感が高まっているが、それらを見ていると日中韓それぞれで全く異なる歴史認識を持っていることを改めて実感する。
しかし、過去に起こった「事実」を歴史だとするなら、韓国・中国の歴史観は正しいと言えるのだろうか。経済評論家・三橋貴明さんの著書『学校では絶対に教えてくれない 僕たちの国家』(TAC出版/刊)を読むと、どうも彼らの歴史観は事実にそぐわないものだとわかってくる。
■中韓反日派が繰り返す事実無根の主張
中国・韓国共に、反日思想の人が主張するのが「日本はドイツのように第二次世界大戦の賠償をしていない」というものだが、実はこれはまったくの虚偽情報だという。
日本は1945年の敗戦まで、中国、朝鮮半島、台湾、樺太などに、当時の評価額で3795億円にものぼる膨大な対外資産を持っていた。これを敗戦後に「戦時賠償」として放棄しているだけでなく、韓国に対しては日韓基本条約に基づいて無償で3億ドル、有償で5億ドル、さらに民間借款で5億ドルを供与している。この金額は当時の韓国の国家予算の3年分にも匹敵する額である。また、中国に対しても、日中平和友好条約以降、3兆円近いODAを供与しているため、賠償をしていないという中韓の主張は事実無根というほかない。
それとも「まだ足りない」ということなのだろうか…。
■「日本の植民地支配」のウソ
前述の賠償金にしても、謝罪にしても、それらの要求の根底にあるのは、「韓国は日本に植民地支配されていた」という韓国側の歴史認識である。
これは日本人である我々の中にも同じように認識している人が多いのだが、史実を見ればこの認識も間違っているとわかる。
「1910年 日韓併合」という事実は、文字通り韓国が日本に併合されたこと、つまり韓国は「植民地」ではなく「日本の一部」になったことを示している。
たとえば、大韓帝国の皇帝一族は、韓国併合後は日本の王公族となり、皇族に準じる待遇を受けている。これを考えると賠償金や謝罪の必要性は別として、「韓国人は日本の植民地支配下で悲惨な暮らしを余儀なくされた」という韓国の主張はおかしいのである。
本書の著者、三橋さんは、今の日本を「国民が国家を意識しなくなっている」として、経済、政治、法律、外交、税金など、日本人として理解しておくべきこの国の構造を解説している。
注目すべきは、これら全ての礎となる「事実としての歴史」について深く言及されていることだ。その内容は私たちが日本人としての正当なプライドと国民意識を持つために、大いに役だってくれるだろう。
(新刊JP編集部)
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