ボーイズラブ(以下BL)業界ではこれまで様々なテーマのBL誌が発行されてきた。そして、その大部分がハッピーエンドで結ばれているのが特徴だった。
そんなBL業界に、新たな風が吹き込まれる。
11月15日に海王社より発売されるボーイズラブアンソロジー『病みBL』のキャッチコピーは、“心が壊れてもなお渇望する―――それは「究極の愛」”だ。
ボーイズラブ(以下BL)とは、男性同士の恋愛を描く漫画や小説のジャンルのこと。
この「病みBL」は通常のBLアンソロジーとは異なり、元来のハッピーエンド主義を覆したBL業界初の「メリーバッドエンドアンソロジー」がテーマとなっている。
メリーバッドエンド(以下メリバ)とは、周りから見れば不幸な結末であるが、当人たちにとっては幸せであるという結末のこと。バッドエンドとは異なる、更に細分化されたジャンルで近年生まれた造語である。
長らく読み継がれてきた太宰治の『人間失格』や、芥川賞を受賞した金原ひとみの『蛇にピアス』、アニメ『ひぐらしのなく頃に』や『魔法少女まどか☆マギカ』など「人の精神が蝕まれていく様子、その心の闇を描いた作品」が評価され、暗澹たる世界感・物語性が人々の心を惹きつけてやまないのは事実であるが、その奥深さをBLで味わえるのがこのアンソロジーの醍醐味といえる。
アンソロジーの内容は『病みBL』というのタイトルの通り衝撃的で、偏執病、SM、心中、共依存―――偏執病に蝕まれ恋人を苛む男や、元恋人に取り憑かれた男、生きている現状に耐えられず心中を選ぶカップルなど、愛するが故に心を病む男たちの「究極の愛」が描かれる。
執筆陣は『イベリコ豚と恋と椿。』(海王社/刊)のSHOOWAを筆頭に、『ほんと野獣』(海王社/刊)の山本小鉄子が綺月陣原作のコミカライズで登場。六青みつみ(挿絵:緒川千世)の小説も掲載されている。
そのほか、タクミユウ、倫敦巴里子、紺色ルナ、タカハシマコ、麻生ミツ晃、黒田 屑、大島彰子(コラム:高永ひなこ、雨隠ギド、小山田あみ、高宮 東、松木加斎、黒岩チハヤ)など、ストーリーに定評があり、実力派として知られる作家陣が織り成す『病みBL』。
BL業界初のメリーバッドエンドアンソロジーは、果たして読者の心に何を残せるのか――。
(新刊JP編集部)
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