「一寸先は闇」
今の世界を言い表すのに、これほど適切な言葉はないだろう。
勤めている会社が10年後も存続しているかどうかはわからないし、会社は存続していても自分はクビになっているかもしれない。
私たちが生きているのはそんな不確かな時代であり、生き抜くにはそれなりの"覚悟"が必要だ。
『勝者が一瞬で敗者になる時代のサバイバル術』(山本真司/著、PHP研究所/刊)には、この厳しい時代の中で、敗者にならずに生き残るための心構えが説かれている。
■流行を追うな、逆らえ
ともすると私たちは、世間の流行に従った行動を取ってしまう。それは確かに手軽で楽なことではあるが、流行に乗ることのデメリットも心得ておいた方がいいだろう。
流行っているものというのは、言い換えれば"みんなと同じもの"。
これを無自覚に選び続けていると思考がマヒし、自分の頭で考えるという、生きていくために不可欠な能力が失われてしまう。
大事なのは、ベストセラーもテレビも鵜呑みにせず、それらとは違ったことを考え、やってみることなのだ。
■誇りを捨てるな。物欲の虜になるな
お金を儲けて欲しいものを買うことは悪いことではない。
しかし、本当に立派な人は「儲ける」という言葉を使わないものだ。
なぜなら、「儲ける」のは結果であって、いい仕事をした後についてくるもの。後からついてくるものを目標にしても仕方ない。
先行き不透明な時代だからこそ、儲けることではなく、その前にある"いい仕事をすること"の方を目標にすべきだろう。
■わがままに、利他的に生きよ
いつ終わりが来るかはわからないのが人生。だとすれば、楽しみを先に取っておくなどということはやめて、毎日の"今日"を充実させるべく努めるべきだ。
一見わがままな考え方に見えるが、著者の山本さんは、利他と利己は矛盾しないと言う。
結果的に利他になる利己であれば、どんなにわがままでもいいのかもしれない。
■不況を楽しめ
給料は上がらず雇用も減る不況下では、節約のために買いたいものを我慢したり、より安価なものを探すこともあるだろう。生活水準を下げることは、誰にとっても抵抗があり、虚しい気持ちになることもあるはずだ。
しかし、少しでも安くていいものを探すのが習慣になると、全ての物事への感覚は磨かれ、少しの値段の差、品質の差に敏感になる。そうなると、安くていいものを探し歩くのが楽しくなってくるはずだ。
考え方によっては不況もまた楽しい。
このように逆境をプラスに変えるタフさは、これからの時代を生き抜くためにまちがいなく必要になるはずだ。
どうしたら路頭に迷うことなく、充実した人生を送れるのか、という問いに明確な答えは存在しない。だからこそ、どんなことをするにも基点となる「心構え」はしっかりと持っておきたいものだ。
(新刊JP編集部)
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