一生懸命指導しているのに、部下がなかなか育たず、結局最後は自分がやってしまう。上司として、チームリーダーとして部下の指導や育成について悩んでいる方は多いでしょう。
しかし、部下の育成が上手くいかず、上司が結局全部やってしまうのは典型的な「ダメな上司」の行動です。では、できる上司とダメな上司の違いとはどこにあるのでしょうか。
人材育成の研修などを行っている室井俊男さんは著書『「できる上司」と「ダメ上司」の習慣』(明日香出版社/刊)で、できる上司とダメな上司の50の習慣を紹介しています。
実は本書で書かれている"ダメな上司"は、かつての室井さんの姿を重ねているといいます。そのため、本書で紹介されているエピソードはとてもリアリティのあるものばかりです。では、その中から、できる上司とダメな上司の違いを3つピックアップしていきましょう。
■できる上司は「バカ」
■ダメな上司は「スマート」
「できる上司」と聞くと、スマートなイメージがあります。ところが、室井さんはそれとは逆を言います。一体どういうことなのでしょうか。
これは、バカになりきれるくらい自分をさらけ出す上司こそが、部下の信頼を勝ち取ることができる、ということです。仕事ばかりできても、人間的に好きでなければその人についていこうとは思わないはず。とてもスマートだけど、何を考えているのか分からない人は部下から敬遠されてしまうのです。
注意や叱責もするけど、緊張しているときには気持ちをほぐしてくれたり、気遣ってくれたりする上司は部下にとって心強い味方なはずです。
■できる上司は「部下を平等に扱わない」
■ダメな上司は「部下を平等に扱う」
チームのマネジメントの中で、特定の部下への「えこひいき」は不協和音の元になります。そのため、部下は平等に同じ指導法で育成すべきだと考えている上司も多いでしょう。しかし、それはダメな上司。部下にはそれぞれに適した指導法があります。だから、相手の能力や経験に合わせて、任せたり、手とり足とり指導したりするのです。
しかし、まだそれだけでは足りないと室井さんは言います。これは室井さんがかつての上司から教わったことなのだそうですが、部下の課題解決能力レベルと課題の難易度にスポットを当て、どのような指導をすべきかを決めることができる、これができる上司の条件といえます。
■できる上司は「言葉で語る」
■ダメな上司は「背中で語る」
よくスポーツの世界では、背中を見せてメッセージを伝えるキャプテン像が持て囃されます。しかし、ビジネスの世界では、その逆。できる上司こそ言葉で語ります。
特に大切なのが、その仕事はどういう背景があって、どういう目的でやるのかということをしっかりと伝えること。仕事をしている自分の姿を見せても、伝えられるのは仕事のやり方だけで、そういったところまでは教えられません。
室井さんは、自身の失敗の経験から、今の部下の世代にあった指導法をしなければ部下は伸びないと繰り返し述べています。自分本位の態度はやめて、上司から部下に歩み寄り、言葉をかけて盛り上げていくことが大事といえます。
室井さんは本書の冒頭で、上司として大事なことは「人を行動させること」だと言います。そして、できる上司は部下に目標や使命感、成長の機会、活躍の場などを与え、動かし、大きなチーム力を生み出して目標達成に導く存在だとしています。
「できる上司」になるためには、自分のやり方を一度見直してみて、ダメな部分と認めて改善すべきでしょう。部下がついてくる時代は終わり、上司が部下に歩み寄って共に成長していく心構えで指導してみるのです。室井さん自身、ダメだった自分を見直し、一歩ずつ「できる上司」に近づいていったそうです。
そして、自分の課題をクリアしていくには、行動あるのみ。まずはダメな自分を見直し、部下との距離を縮めるところからはじめてみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
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