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若者言葉「やばみ」の「み」はどこから来たのか?

  • 書名 『日本語の大疑問 眠れなくなるほど面白い ことばの世界』
  • 監修・編集・著者名国立国語研究所編
  • 出版社名幻冬舎

若者ことばの一種として、「やばみ」や「うれしみ」など、形容詞に「み」をつけて話している人を見たことがないだろうか。この「み」はどこから来ているのか考えたことがあるだろうか。また「これ」「あれ」「それ」といった指示代名詞はどのように使い分けるべきのか。普段使っている日本語だが、考えはじめると悩ましい。

■「やばみ」の「み」は文法的に考えると...

『日本語の大疑問 眠れなくなるほど面白い ことばの世界』(国立国語研究所編、幻冬舎刊)は、国立国語研究所に寄せられた日本語に関する疑問・質問に、国立国語研究所の関係者が答えていく一冊。

敬語と接客言葉、外来語、歴史で読み解く日本語の不思議の他にも、「やばみ」のようないわゆる「若者ことば」の実態や絵文字、キラキラネーム、手話、干支、外国人の日本語学習なども紹介する。

「今年の花粉はやばみを感じる」というように使われる「やばみ」。この「み」は、2007年頃からTwitter上で見られるようになったものだというが、いったいどこから来ているのか。

文法的に「み」は、主に形容詞の後について名詞を作る働きを持つ「接尾辞」と呼ばれるもの。形容詞に「み」をつけて作られる名詞には、「うまみ」「つらみ」「深み」などがある。これらの「み」は、従来用法とも言うべきもので辞書にも載っている。

では、従来用法では「み」がつかないはずの形容詞「やばい」「うれしい」に「み」がつくのはなぜか。これは本来、「み」ではなく、名詞を作る接尾辞「さ」をつけて、「やばさ」「うれしさ」という形で名詞化する必要がある。しかし、本来のルールでは付かない語、広い範囲の語に「み」つけるという新用法が「やばみ」なのだ。

他にも理由としては、若者ことばで重視される面白さや新鮮さが動機として考えられる。「さ」ではなく、わざと逸脱した表現である「み」を使うことで、冗談めかしたネタとして自分の感情や欲求を表現することができる。

■「これ」「それ」「あれ」はどう使い分けるべきか

また、普段よく使う「これ」「それ」「あれ」という指示詞をどのように使い分けているだろうか。これらは基本的には、指示対象までの距離やニュアンスによって使い分けられる。

近距離を指し、目の前にあるような臨場感を伴って対象を指すのが「これ」。中距離の対象、あるいは聞き手の領域にある対象を指す時に使うのが「それ」。遠距離にあり、相手との共感とともに記憶内にある共有知識を指すのが「あれ」となる。

決して物理的な距離だけで決まるわけではないのがおもしろいところ。普段何気なく使っている言葉だが、使い分けには理由がある。距離だけでなく、さまざまなニュアンスも込められているのだ。

日常的に使っていたり、目にしている日本語の謎を解き明かす本書。教養を深めると共に、日本語の面白さに気づかせてくれる1冊だ。

(T・N/新刊JP編集部)

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