新型コロナウイルス感染症の蔓延で、多くの人がこれまで通りの生活を送れず、窮屈な生活を余儀なくされています。
先行きの見えない不安からメンタル不調に陥っている方や、外の空気を自由に吸えない状況に、なんとなく体調が優れない方も増えているのではないでしょうか。日中の活動量が減り、生活リズムが崩れて、寝つきが悪くなったという声も聞きます。
順天堂大学医学部教授の小林弘幸さんは、ぐっすり眠れない原因は自律神経の乱れにあると言います。
「人間の生命活動は『自律神経』によって支配されています。自律神経は、日中にアクティブになる『交感神経』と、夜にリラックスできる『副交感神経』から成り立っています。しかし、外出自粛でメリハリのない生活を続けていると、交感神経の働きが高まったままで、夜になってもリラックスできず、十分な睡眠がとれなくなってしまうのです」(『自律神経を整える「長生き呼吸法」』より引用)
誰でも簡単に自律神経のバランスを整えられて、心身を健康に保つことができるように。そんな目的で小林さんが考案した健康法が「長生き呼吸法」です。
小林さん考案の「長生き呼吸法」は、自律神経と腸内環境を同時に整えることができるため、さまざまな不調や病気に有効な健康法だとして、著書『自律神経を整える「長生き呼吸法」』(アスコム刊)でその詳しいやり方を解説しています。
ここでは、基本の「長生き呼吸法」から生まれた、ぐっすり眠れない方にオススメの「夜のぐっすり呼吸」を紹介しましょう。
質の良い睡眠をとるには、副交感神経を高めることが必要です。息を吐く時間を長くすることで、副交感神経の働きが高まり、全身からほどよく力が抜けていきます。
<夜のぐっすり呼吸のやり方>
①まっすぐ立つ。手首をクロスさせて頭上に上げる
②全身をできるだけ上に伸ばす
③一気に脱力して、6秒、口から息を吐く
④元の姿勢に戻って、3秒、鼻から息を吸う
これを10回行いましょう。息を吐く時間を長くすると、肺についた横隔膜がよく動きます。横隔膜には自律神経が集まっているため、深く呼吸をすると、横隔膜が刺激されて、副交感神経を高めることができるのです。すると、心身がリラックスモードになり、快適な睡眠をとることができるといいます。
人が生きるためには食事と呼吸が必要ですが、無意識にできる呼吸は軽視されがちだと小林さんは言います。人間は1日に平均2万回以上呼吸をしており、それゆえ、呼吸の質が心身に大きな影響を与えているそうです。
例えば、ため息。「ため息をつくと幸せが逃げる」と言われますが、実はため息のような深い呼吸は、副交感神経の働きを高め、自身に芽生えたささやかな不安や不調をリセットするために有効だそう。
『自律神経を整える「長生き呼吸法」』は、呼吸が人体においてどんなに大切な役割を担っているのか、最新の医学エビデンスに基づきわかりやすく解説しています。また、「長生き呼吸法」がもたらす、一般人には想像以上の健康効果もたくさん紹介されています。
これまで通りの自由な外出ができず、心と体に不調をきたしてしまう方が増えています。この機会を活用し、心身の健康のために、自分の呼吸と向き合う時間を作ってみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
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