新型コロナウイルスの感染拡大で、全国的に学校が休校になり、「家庭学習」への関心が高まった。
どんな年齢・学年でも、家庭学習の習慣づけが子供の学力向上につながるのはまちがいないが、なかでも「小4・小5・小6の過ごし方で将来が決まる」としているのが『小学校最後の3年間で本当に教えたいこと、させておきたいこと』 (すばる舎刊)の著者、中根克明氏だ。
中根氏は、小学校高学年の過ごし方が子供の後の人生に大きな影響を与えるとする一方で、この年代は親から自立する気持ちを持つようになるため、親の言うことを素直に聞かなかったり、反発するようになることもあるとしている。
こうした「難しい年頃」の子どもの家庭学習。親としてはどんな点に注意すべきなのだろうか?
それまでは親の言うことを素直に聞いていた子供が一転、言うとおりにしなかったり反発したりするのが小学校高学年という年齢。
そんな時、親は「ダメ」「こうしなさい」と強制したくなるが、望ましいのは一人前の大人に指示するように、「それをやるべき理由」や「ダメな理由」を、時間をかけてじっくりと話すことだ。
「子供は、物事の重要性を説明の長さとして受け取るところがあります」(中根氏)。時間をつかってゆっくりじっくり説明された方が、子供は親の指示や約束事を守りやすくなるという。
子供のなかには、病気や家庭の事情などで小学校にあまり行けなかったにもかかわらず、中学や高校で思い立って勉強をはじめるとみるみる力をつけて、周囲の子ゴボウ抜きする人がいる。
これまで40年近く、作文学習を通して子供たちを指導してきた中根氏は、そういう子の共通点として「読書」を挙げ、読書をすることで文章という言葉を通じて身につく思考力が身につくとしている。この種の思考力は勉強や遊びを通して育つ思考力とはまたちがったものだ。
自分で考える力さえあれば、学力を伸ばすのにそう時間はかからない。これから学ぶすべての土台として、読書は有効なのだ。
親としては子供の学力は気になるもので、どうしてもテストの点数や成績表に目が行ってしまうもの。ただ、小学校時代の成績は必ずしも中学以降の成績とリンクしない。小学生時代の勉強には、「今の好成績」よりももっと目指すべきものがある。
この点についての中根氏の意見は「高校生になって、本人が自覚して勉強に取り組むようになってからの学力」の土台作りが、子供時代の勉強の真の目的だというもの。そのためには、小学校高学年のうちに勉強漬けにするのではなく、
・勉強に対する肯定感をつけさせる
・自分の興味や個性を伸ばす
・読書の習慣をつけ、読書のレベルを高めていく
・自分なりに考えたり工夫したりするような思考力を伸ばすための、時間的な余裕を持つ
という4点が大事だとしている。
◇
ここでは小学校高学年の家庭学習についての親の心構えを紹介したが、本書では科目ごとの勉強法や家庭内でやらせる勉強以外の取り組み、高学年からの友達との人間関係などが詳しく解説されている。
子供の将来にとって大事な意味を持つ小学校高学年の3年間を充実したものにするために、親としてどんなことができるのか。本書から得られる示唆は多いはずだ。
(新刊JP編集部)
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