あなたが働いているオフィスや、通っている学校、あるいは家族や親戚に、こんな人はいないだろうか?
・自分の利益のためなら人を陥れることも厭わない人
・言葉巧みに相手を支配する人
・嘘をついてでも自分の立場を強く見せたがる人
こういう人への対応は難しい。うわべはとても穏やかで、悪意があるようにはとても見えない。しかし、気がつけば弱点につけ込まれて不利益を被ったり、言うことを聞かざるを得ない立場に追い込まれてしまったりする。それを第三者に相談しても、一見して「いい人」であるため取り合ってもらえない。
「潜在的攻撃性パーソナリティー(=マニピュレーター)」と呼ばれるのはこういった人である。
『他人を支配したがる人たち』(ジョージ・サイモン著、秋山勝訳、草思社刊)は、どんな職場や組織にも一定数存在するマニピュレーターの特徴と、人を攻撃し、従属させる手口、そして彼らへの対策を解説する。
彼らは決してわかりやすく相手を攻撃したり、悪口を言いふらすようなことはしない。悪意が露呈しないようにふるまうのが極めてうまいのだ。しかし、やはりその行動やロジックにはいくつか特徴がある。代表的なものを挙げていこう。
何か自分に非があることで人から問い詰められると「そんなに言われるほど大したことではない」と、自分の非をありきたりなものに見せかけようとする。
目的のためなら手段を選ばないため、必ずウソをつく。
悪意から他人を害したことが明らかな場合でも、決してそれを認めない。それどころか「犠牲者の方に問題があったのではないか」という方向にロジックを持っていこうとする。
相手の警告や申し立てをわざと無視する。自分の目的の妨げになる部分に対して注意を払うことを拒む。
自分の行動こそが最善の選択肢なのだと、自分の悪行を合理化する。
自分の悪行について問い詰められると、巧みに話題をそらし、はぐらかす。
はっきりそれとわからない程度に威嚇して、相手を意のままに操ろうとする。
◇
これらの特徴を見て、同僚や上司、家族の顔が思い浮かんだ方は多いのではないか。底意を決して見せることなく、あくまで穏やかだが、内心では自分のために誰かが犠牲になることなど何とも思わないのがマニピュレーターである。
「こんな人とどう付き合っていけばいいのか」と思うだろうが、対策がないわけではない。本書ではマニピュレーターの行動と考え方について実際に起きた例を交えて解説。職場や学校、友達、家族の中にも高い確率で存在するこのタイプへの対処方法を解き明かしていく。
いつの間にか自分が序列の下に置かれていたり、知らぬ間に丸め込まれ不利益をこうむっていることが多いという人は、もしかしたらそれは身近なところにいるマニピュレーターの仕業だったのかもしれない。
(新刊JP編集部)
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