日本の社会が終身雇用制と前提としていた頃から大きく変わりつつあることは、多くの人が気づいているはず。
黙っていても毎年給料が上がり、ボーナスがあり、定年退職するまでに住宅ローンはほぼ完済し、退職金をアテに悠々自適な老後を過ごす、という時代がかつて確かにあった。
しかし、今となってはそれも夢物語。業務量と責任を考えると到底釣り合わない低水準のまま上がらない給料に、将来への不安を感じながらも、会社を辞めるわけにもいかず、嫌々仕事に行く、というのが日本人の働き方のスタンダードになる日も近い。いや、すでにそうなっているのかもしれない。
■サラリーマンが持つべき「3つ目の財布」とは
だからこそ、社業とは別の仕事を持つ「ダブルワーク」や「副業」は、希望をもって語られる。副業で給料とは別にお金を稼げば、今より少しは経済的に、精神的に自由になれるのではないか、と。
これは、まちがってはいないが、正解でもない。サラリーマンが経済的に自由になるには、給料と副業の所得という「2つの財布」だけでは足りず、「3つ目の財布」が必要になるからだ。
『自由の翼を手に入れる3つの財布』(成田仁著、クロスメディア・パブリッシング刊)は、サラリーマンとしての将来に不安をおぼえながらも、職場と自宅を往復するだけの生活から抜け出せずにいる主人公が、副業に手を出し、そしてついに「3つ目の財布」を手にするまでを描いた物語だ。
この「3つ目の財布」とは何なのか。疑問に思う人のために明かしておくと、収益不動産による所得である。
■「社会的信用」が物件購入でモノを言う
確かに、会社とは別のところで働いて収入を得る「副業」は悪くないが、時間的に体力的に制約は大きい。一方で、不動産ビジネスは賃料収入が入ってしまう仕組みさえ作ってしまえば、基本的に時間も手間もかからないものだ。
だからこそ、本書ではこの手法で「3つ目の財布」を持つことが推奨される。もちろん利点はそれだけではない。収益不動産はどんなに利回りが低くても、6%~7%の利回りは期待できる。これは、管理費や固定資産税などの経費を引いても十分キャッシュフローがプラスになるパーセンテージ。浮き沈みの大きいイメージがある不動産ビジネスだが、実はかなり堅い資産運用法といえる。
まして、サラリーマンには「社会的信用」があり、これは物件購入で威力を発揮する。カネ余りの現状と相まって、サラリーマンが不動産ビジネス用に物件購入をする時、金融機関への融資申請が却下される可能性はかなり低いのである。
◇
今現在、会社からの給料以外に収入がない人にとっては、「副業」や、まして「不動産ビジネス」にいたっては「自分にできるわけがない」という感想を持ちがちかもしれない。
しかし、サラリーマンという身分がジリ貧なのは紛れもない事実。将来の身の振り方に窮したくなければ、会社に軸足を置きつつ、他の稼ぎ方を模索せざるを得ないのは確かだ。
この物語で、主人公が「3つ目の財布」である不動産ビジネスをどう収益に結びつけるかは、本書を読んで確かめてみてほしい。そしてそれよりも「自分にどんな稼ぎ方が可能なのか」と、今の生活から一歩離れた自分を想像してみることが大切なのだ。
(新刊JP編集部)
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