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憲法のことをよう知らずに「改憲」言うたらアカンやろ?【矢島雅弘の「本が好きっ!」】

 みなさん、こんにちは! ブックナビゲーターの矢島雅弘です。
僕がパーソナリティを務めるインターネットラジオ『矢島雅弘の「本が好きっ!」』。第16回のゲストは『憲法って、どこにあるの? みんなの疑問から学ぶ日本国憲法』(集英社刊)の著者、谷口真由美さんでした。

大阪国際大学准教授であり、全日本おばちゃん党の発足人にして代表代行の谷口さん。
著書の各項目のまとめでも、大阪のおばちゃん風の関西弁コメントを披露していますが、今回の収録でも「大阪のおばちゃんトーク」はご健在でした。こちらはぜひ、インタビュー音声をお聞き頂きたいと思います。明るくて親しみやすいですよ。
 
■法律先行の改憲論は「あかん!」

さて、お話し頂いた内容は、もちろんただのおばちゃんのおしゃべりではありません。
「憲法があって、法律があって、条例などがある。これは絶対に、上から下に変えていかないといけないんですよ。憲法が上で、法律がその下。だから、これこれこういう法律があるので、この法律を活かすために憲法を変えよう、なんて議論があると、我々法学に携わる者は『何やっとんねん!あかんやろ!』ってなります。」

法学の原則も、谷口さんにかかればこの通り親しみやすい口調に変わってしまいました。

今回のインタビューではご著書の内容に沿って主に日本国憲法についておうかがいし、「憲法とは何か?」「憲法は私たちの生活のどこにあるのか?」といったお話をお聞きしました。これはこれで大変面白かったのですが、収録内外でお話し頂いた「関西弁のお話」も面白かったので、ここで皆さんにご紹介したいと思います。
 
■方言は究極の地方自治である!

 
谷口さんは関西弁を使って話します。(これは多くの関西出身者もそうですが)その理由を「私はね、方言っていうのは究極の地方自治だと思うんですよ」と、政治にからめて教えてくれました。

谷口さん曰く、統治政策の第一歩は言語統制なのだそうです。つまり歴史を振り返ると、よその国を占領した場合、まずは自国の言葉に変えるところから始まるということですね。その逆として、方言を使い続けるということは、地方のアイデンティティや文化を守ることにつながるとか。

しかしながら、言語はコミュニケーションツールでもありますから、全く通じないのも、それはそれで問題だとも言います。

例えば、谷口さんは「にぬき」(煮抜き:関西弁でゆで卵の意味)のような別地方の人に通じない言葉までは使わないそうです。ただしアクセントやイントネーションは関西のものを使用して「うちは関西人なんやで~」と地方の自治精神を保っているのだとか。

これはとてもアカデミックな発想ではないでしょうか。
関西弁を使い続けるという行動は、一見フツーの行動です。しかし、持論を持ち、使う意味を明確にすることが「政治」に結び付いていく。

そして実は、こういった発想が憲法や法律にも必要なのではと僕は思いました。

日本は法治国家ですから、僕たちは普段何気なく憲法や法律に従っています。
ではなぜ、自分は従っているのか? その意義や解釈をしっかりと持論に落とし込んでおけば、より能動的に憲法や法律について考えることができるはず。そこから本当の意味での「改憲」の議論ができるようになるのではないでしょうか。

難しいと思われがちな憲法や法学の基礎がスッと腑に落ちる、そんな感じのご著書と著者さんでした。

(文/ブックナビゲーター・矢島雅弘)

 ◆   ◆   ◆

【矢島雅弘の「本が好きっ!」】
ブックナビゲーター・矢島雅弘による書評ラジオ。毎回、話題の本の著者が登場して、本について掘り下げるインタビューを届ける。
オーディオブック配信サービス・FeBeにて無料配信中。http://febe.jp/honga

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