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アナリストが推測する「パナマ文書」と「高額紙幣廃止」の共通点

 2015年8月、パナマに構えるモサック・フォンセカ法律事務所からあるデータが流出した。それは、租税回避行為に関する機密文書であり、2016年5月10日に専門家やジャーナリストによって分析された結果が公表された。

これは世界を揺るがす衝撃をもたらし、アイスランドではグンロイグソン首相(当時)が辞任するなど混乱をもたらした。では、経済アナリストの塚澤健二さんはあの「パナマ文章流出」と「タックス・ヘイブン」をどのように捉えているのだろうか。第3回はパナマ文章を皮切りに話をうかがっていく。

 ◇    ◇    ◇

タックス・ヘイブンは租税回避地のことで、税金がかかりません。勘違いしている人も多いのですが、これは違法ではありません。ただ、一点気になることをあげるとすれば、こうした場所を誰がつくったのかということですね。

ただ違法ではないとはいえ、それが明らかにされてしまい世界中から批判の声が上がった以上は、こうしたシステムの役目は少しずつ消えていくように思います。ただ、もちろん次の抜け道として考えられる存在も出てきています。それが「仮想通貨」です。

「仮想通貨」は法定通貨ではないので、正式なお金ではありません。ようは「アウトサイダー」です。ところが、2013年に、当時FRB議長だったバーナンキが懸念を示すとともに、長期的な価値があると認める発言をしています。

実際のところ、アウトサイダーたる「仮想通貨」はそこでは無視されないといけない存在であったはずです。でも、その価値を認めたということは、有用性があるということが考えられるのではないでしょうか。

また、「パナマ文書」とともにもう一つ気になる事象があります。それが「高額紙幣の廃止」です。今年2月にロイターが高額紙幣廃止論についての記事をあげ、その翌日、アメリカのサマーズ元財務長官が新たな100ドル紙幣の発行停止を呼びかけました。そして今年の5月に、欧州中央銀行が500ユーロ紙幣の廃止することを発表しましたね。

拙著『未来からの警告! 2017年 超恐慌時代の幕が開く』の中で、私は「高額紙幣は『退蔵マネー』として使われている」と指摘しています。つまり、隠し持っているお金のことです。そして、高額紙幣を廃止することで、貯まっていたお金を一度、動かさなければいけなくなるはずです。そうなるとマネーは流動化するでしょう。

サマーズ元財務長官は高額紙幣の廃止と、マイナス金利政策を機能させることに関連があるという見方に否定的ですが、私は逆だと考えています。中央銀行の狙いはマネーを動かす、ということです。

「パナマ文書流出」もマネー流動化の契機になると考えられます。口座を閉鎖することで、お金が動く。これまでは各国の中央銀行が規制を緩和することでお金を膨らましていたわけですが、それが限界にきた。だから、「退蔵マネー」を動かして、世界の景気を延命させるフェーズに入っていると考えられるのです。

(最終回に続く)

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『未来からの警告! 2017年 超恐慌時代の幕が開く』の著者、塚澤健二さん

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