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毎年売上3割増!新卒を即戦力にする3つのポイント

 朝夕の通勤電車やバスの中で、スマートフォンや携帯電話を手にゲームに興じるというのは、すっかり見慣れた光景になった。
 事実、モバイルコンテンツのゲーム市場は拡大を続け、2011年にはその規模が7000億円を突破した。ただ、その反面大ヒットゲームを生み出して急成長した企業が数年で急降下してしまうなど、浮き沈みが極めて激しいことでも知られる。当たり前のことだが、安定してヒットを飛ばし続けるのは、本当に難しいのだ。

 そんなモバイルゲーム業界だが、数少ない例外もある。
 ターゲットを女性に絞り、彼女たちに向けた恋愛ゲームを提供している株式会社ボルテージは、毎年安定してヒット作を世に出し続け、年商は約100億円。2006年以降売上高を毎年約3割ずつアップさせている。

 同社の「女性向け恋愛ゲーム」が女性に支持されるのは、そのストーリーのクオリティの高さによる。非日常を味わわせながらも、現実離れしすぎず、決して飽きさせない。そんな絶妙な“サジ加減”を可能にしている要因として、創業者の津谷祐司氏がフィルムスクールの世界的名門、UCLA映画学部大学院でストーリー作りのノウハウを本格的に学んでいることが挙げられるだろう。

 ただ、ボルテージのヒット作品はすべて津谷氏から生まれるわけではない。むしろ、入社したばかりの新卒社員が企画したゲームがヒットするところに、この会社の強さがあるのだ。
 今回は、前回に引き続き『「胸キュン」で100億円』(上阪徹/著、KADOKAWA/刊)から、同社の成長の要因に迫る。

■ドラマには「パターン」がある
 誰もが夢中になるドラマやストーリーを作るためには絶対的な才能が必要だと思われがちだが、津谷氏によると、ドラマにはある程度決まった「パターン」があり、それらをフォーマットとして踏まえていれば、ストーリー作りはややこしいものではないという。
 たとえば、「桃太郎」と「七人の侍」は共に「前半で仲間を集め、後半で強い敵と戦う」という同じパターンを用いている。こういった、「パターン」をボルテージでは最初に教えるため、同社ではそれまでゲーム制作の経験がなかった新卒社員が入社してすぐに戦力として働くことができ、2年目、3年目にはヒット作を生み出すことができるのだという。

■「面白い」にはロジックがある
 しかし、もちろんフォーマットを身につけるだけでは一人前とはいえない。
 会社としてヒットを出し続けるためには、パッと思いついたアイデアを形にしていくだけでは行き詰まってしまう。「なぜ、このドラマは面白いのか」「なぜこの舞台設定なのか」というロジックが欠けているのだ。
 このロジックを突き詰めて考えていくと、企画自体のターゲットやコンセプトについて考えざるをえない。自然と、説得力のある企画が立てらえるようになり、ノウハウもたまっていくというわけだ。

■最初と最後は、経営者が決める
 基本的にはコンテンツ作りの現場で、ドラマを自分で考えるというより“プロデューサー”の立場にいる津谷氏だが、企画の「最初と最後」は自分で直接決めるようにしているという。
 つまり、企画のコンセプトの段階と、コンテンツが出来上がった後の最終チェックだ。ボルテージのコンテンツの企画に、津谷氏は全て目を通し、ゴーサインが出たものだけが製作される。そして、出来上がったコンテンツの最終的なタイトルやクオリティを再び自身でチェックした後、リリースされるのだ。これが、作品の質を担保しつつ、スタッフの発想力を最大限に引き出す仕組みなのだという。

 本書には、ボルテージが競争の激しいモバイルゲーム市場で勝ち続けられる秘訣が明らかにされている。
 「仕組みを作った者が勝者」というが、それはボルテージも例外ではない。 
 同社が作り上げた「仕組み」は、コンテンツ作りにおいて、人材育成において、そして経営において、大きなヒントを与えてくれるはずだ。
(新刊JP編集部)

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