『リアル鬼ごっこ』や『×ゲーム』など数々のヒットを飛ばし、若者から圧倒的な支持を受けている山田悠介氏。昨年12月には1年ぶりとなる新作『君がいる時はいつも雨』がいきなり文庫で発売され、話題を呼んだ。
その前作からわずか2ヶ月。早くも続編となる新刊『天使が怪獣になる前に』(文芸社/刊)がこれまた文庫で出版された。
雨とともに現れる自称“正義のヒーロー”孝平。
彼は兄の孝広を助けるために、生まれてこなかった子どもたちが暮らしている世界・コドモランドからやってきた“少年”で、この世の人間ではない。
孝広の両親は幼いころに交通事故で死んでしまったのだが、そのとき母親のお腹の中にいたのが孝平だったのだ。
『君がいる時はいつも雨』ではそんな孝平と孝広のストーリーが展開されたが、本作は再び現実世界にやってきた孝平と、同様にコドモランドからやってきたという“ナナシ”が主人公となっている。
孝平の誘いにも関心を寄せず、じっと弁当を売る女性を見続けるナナシ。さらに、その女性はナナシのことを知っていた。子どもと一緒に背を向けて家路につく女性を、ナナシはじっと目で追う。ナナシはどうして現実世界にやってきたのか? そして、孝平が見た恐ろしい夢と、ナナシを襲う運命とは…?
本作は前作と同様に「家族」が一つの大きなテーマとなっている。前作を読んでいる人はもちろん、読んでいない人でも物語の世界に入り込むことができるだろう。言葉づかいは粗いが、意外と友だち想いな一面を見せる孝平の姿はなんとも子どもらしい。
このシリーズは山田氏の新たな代表作になりそうだ。
(新刊JP編集部)
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