アジア出身の選手で初めての歴史的快挙ということで、錦織圭選手のグランドスラム決勝進出に日本中が熱狂しました。とくに準決勝の試合終盤での長いラリー。どんな球もミスをしないという錦織選手のプレーは圧巻。
よくアスリートはよい集中状態のことを“ゾーンに入る”といいますが、錦織選手のプレーはまさに“ゾーン”そのものだったと、誰もが感じたのではないでしょうか。
ところで、そもそもこの“ゾーンに入る”とは、どういうことなのでしょうか。順天堂大学医学部教授で、日本体育協会公認スポーツドクターでもある小林弘幸先生に話を聞きました。
「“ゾーンに入る”とは、自律神経が最高に整ったいい状態のことをいいます。交感神経と副交感神経が1:1のバランスで整った時のことです。例えば、野球選手がピッチャーの投げた球が止まってみえるように感じたり、自分のプレーを第三者的に俯瞰できるように感じること。ほどよい緊張の中、固くなり過ぎずに最高のパフォーマンスを出すことができます」(小林先生)
この“ゾーンに入る”ことは、なにもスポーツの場だけのことではありません。日常生活でも経験することができると小林先生は言います。
「自律神経を整えると、健康にいいだけではなく、体のパフォーマンスが上がります。アスリートはもちろん、私たちにも必要なことなのです。私たちで言えば、仕事に熱中して周りの雑音が気にならなくなる、時間が経つのを忘れてしまう。これもゾーンに入ったということでしょう。そして、そのような状態にもっていくためには、ストレスで崩れている自律神経のバランスを、毎日意識的に整えることが大切です。そのために、みなさんにおススメしている、とっておきの方法が“日記を書くこと”です」(小林先生)
小林先生は、近著『「3行日記」を書くと、なぜ健康になれるのか?』(アスコム/刊)で、この日記の書き方、そしてその医学的根拠をやさしく解説しています。
日記を書くことは、日々の感情で“グレー”にしている部分を明確にする行為です。人は不明確な部分をストレスと感じます。日記でそのグレーの部分を書きだし、明確にすることで、ストレスを引きずらなくてすむのです。
サッカーの本田圭祐選手が、今でも毎日書いていると話題になった“夢ノート”も日記のひとつ。やはり一流の人は、意識的に自律神経をコントロールする方法を知っているのでしょう。およそ9割の人は、自律神経が乱れているというストレス社会。“ゾーンに入る”とは言わないまでも、まずは日記を書いて、日々のパフォーマンスを上げてみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
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