寒い日のつづくこの季節は、学校やオフィス、また家庭内で風邪が流行る時期です。
風邪をひいてしまった時、私たちのほとんどは「薬を飲んで早く寝よう」と考えますが、薬そのものの性質を知らずに「風邪をひいたらとりあえず薬」と安易に考えていると、かえって体調を悪化させてしまうこともあるようです。
『なぜ、あなたの薬は効かないのか?薬剤師しか知らない薬の真実』(光文社/刊)の著者で薬剤師の深井良祐さんは、風邪をひいた時によく服用する薬について、こんなリスクを指摘しています。
■風邪に抗生物質は効果ナシ?
風邪をひいた時は抗生物質を飲んでおけばすぐに治ると思っている人は多いかもしれません。しかし、深井さんは「抗生物質を服用しても、風邪の症状は良くならならない」と言います。というのも、抗生物質は細菌に対して作用するものの、ほとんどの風邪の原因となっているウイルスには効果がないのです。
風邪をこじらせて肺炎を併発するのを防ぐという意味では意味のある抗生物質ですが、単に症状を抑える目的で頼ると、かえって風邪を長引かせてしまう恐れがあります。
■知らないと危ない!「薬の飲み合わせ」
熱を下げる目的で利用される風邪薬にも問題点があります。
例えば、私たちの体の中には、「プロスタグランジン」という「痛み物質」があります。
「痛み物質」という名の通り、プロスタグランジンには、「痛みを強める」作用があるのですが、実は脳にはたらきかけることで「体温を上昇させる」という作用も。
これは裏返すと、「解熱剤」と「鎮痛剤」のどちらを飲んでもプロスタグランジンが抑えられるということ。まったく同じ成分が含まれる薬であっても、ある時は痛み止めとして使用され、またある時は熱を下げる目的で使われているのです。これを知らずに「解熱剤」と「鎮痛剤」を併用してしまうと、同じ成分を通常の倍摂取してしまうことになり、胃腸障害などの副作用が表れやすくなるといいます。
また、プロスタグランジンの働きを抑える種類の解熱剤をインフルエンザに罹った15歳未満の小児に使用すると、痙攣や意識障害などの脳症を引き起こす可能性が高まるため、この年代の子どもの発熱にはアセトアミノフェンを使用すべきだということも知っておくべきでしょう。
本書には薬のメカニズムや危険な副作用など、その便利さと怖さが詳しく解説されています。
今回名前が出た解熱剤、鎮痛剤、抗生物質など、よく使う薬だからこそしっかりとした知識を身につけておきたいものですね。
(新刊JP編集部)
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