世の中の営業マンにとって、目標達成は第一。しかし、このご時世なかなか上手くいかないことのほうが多いでしょう。そんな中で「お金持ち」、いわゆる大口顧客は絶対に手離したくない存在です。
では、「お金持ち」を口説き落とすにはどうすればいいのでしょうか? そんな悩みに回答してくれるのが、『営業マンはお金持ちをねらえ!』(日本経済新聞社/刊)。著者の掛越直樹さんは大手都市銀行で富裕層ビジネスに参画し、3000人もの富裕層の方々と面談した経験があり、まさに“富裕層キラー”といっても過言ではありません。
今回はそんな掛越さんにインタビューを行い、「お金持ち」の人々について聞いてきました! 今回は後編をお送りします!
■あなたの趣味が成約の決定打になる!?
―では、掛越さんの中で「これは手ごわいな」と思った職種・業種はありますか?
「オーナー社長でしょうか。一代で財をなした方は、たくさんの成功と失敗をご経験されていて、いわゆる百戦錬磨の方々ばかりなのです。また、年齢も60代から70代の方が多くて、私はまさに子どもか孫のような存在ですよね。
そんな私を試すような質問をする方もいらっしゃって、答えられないと叱られるのですが、そこで大事なことは答えられないままにしておかず、持ち帰って検討しますと回答し、すぐに対応することです。一生懸命お客さまのために動くことで、信頼関係はより強固なものとなります。そして、継続してお取引をしてくれるようになる可能性が高くなるのです。もちろんその分、準備時間も労力も増えますが、何十倍にもなってリターンが返ってくる可能性があります」
―なるほど。
「オーナー社長の方々は数字以外のところを重要視しています。いかに自分のことを考えて行動し、最善を尽くしてくれたかどうかで信頼をいただけるのではないかと思います。
だから私は、手ごわい人の方が好きなんですよ(笑)こだわりがあって、一度信頼関係を築くと心強い味方になってくれます。また、とても雑談好きな方が多いですね。面談をしていても、話の内容の9割は雑談です」
―趣味のお話から取引につながることもあるのではないですか?
「そうなんですよ。相手のお話をしっかりと聴くことが求められるので、口下手な方でもできるはずです。大切なのは観察力や想像力ですね。どんな質問を投げれば、お客さまが喜んでお話をしてくださるか考えながら、話を聴くのです」
―趣味というところでは、本書の『お金持ち攻略のための「旅行のすすめ」』という項目で旅行を勧めていらっしゃいます。掛越さんがこれまで行ってきたなかで印象的な国や場所はありますか?
「もう一度行きたいと思うのは、南米のボリビアですね。これは本書の中でも書いているので、ぜひ読んでほしいです。人間はどうして衰えていくものですから、体力のあるうちに日本から離れた遠い国に行ってほしいのです。日本と全く異なる文化や習慣にふれて、自分だけにしか語れない体験することはとても大切です」
―掛越さんは海外のご経験が多そうです。
「実は私が初めて飛行機に乗ったのは28歳のときなのです。海外赴任が決まったときでした。つまり、初海外も28歳なんですよ」
―それは意外ですね!
「そう思いますか(笑)? 私としては良かったですね。なぜかというと、会社に入ってから仕事で海外に行こうという野望がありましたから」
―そのときはどちらに赴任されたのですか?
「台湾でした。当時、私は中国語がまったく話せなくて、半年くらいして話せるようになったのですが、飲食店などで苦労した記憶がありますね。
ただ、今は時が随分経ってしまったので言葉もかなり忘れてしまいましたが(笑)。
また、遠いところに行くのは好きではないという方は、近くのものでいいので、お客さまが知らないことをお話してあげて、疑似体験できるようにすることが大事です。例えば、私はトワイライトエキスプレスにこれまで22回乗車しました。(本書執筆時には21回)、その体験からこの列車に関しては何を聞かれても、ほとんど答えることができると思います。
それくらい詳しくなれば、語ることができますよね。その道の通になることで、雑談の幅が一気に広がるのです」
―それは仕事に直結することでなくてもいいのでしょうか。
「いいです。趣味が仕事で生きるケースはたくさんありますから。本書で旅行を取り上げているのは、富裕層の方々は旅行好きが多いからという理由です。
営業成績で一番になることが最も良いのでしょうけど、難しいところもあります。だから仕事以外の部分で自分が一番になれるものをつくってください。それが必ず活きるときがありますから」
―では、本書をどのような方に読んでほしいとお考えですか?
「まずは営業成績を伸ばしたい営業担当の方です。また、営業成績が伸び悩んでいる部下をお持ちのマネージャーや管理職の方、もちろん経営者の方にも読んでほしいですね。
それに、お金持ちの方とどうコミュニケーションを取ればいいのか悩んでいる方も、ヒントがあるはずです」
―このインタビューの読者の皆さまに、メッセージをお願いします。
「私は営業を通じて、たくさんの富裕層のお客さまと接してきましたが、今でもお一人お一人の顔を覚えています。それはどうしてかというと、皆さん個性的な方ばかりだったからです。そんなお客さまにどう接すれば、一番喜んでいただけるのかを常に考えることが営業の仕事だと私は思います。
本書では、皆さんが喜んでもらえるノウハウを書いています。この本が営業のヒントになり、成績を伸ばすきっかけになることを祈っています」
(了)
■取材後記
ご自身の豊富な経験をもとに、富裕層はどんな方々なのかを丁寧に説明してくださった掛越さん。まるで、面談さながらにお話をしてくださいました。お客さまのためにどれだけ尽くすことができるかという掛越さんの言葉は、どの業種・職種でも通じることがあるはず。本書は「お金持ち」に限らず、営業の基本を学べる一冊でもあるので、インタビューを読んで琴線に触れるものがあったら、ぜひ本の方を手にとってみてください。
(新刊JP編集部)
【関連記事】
・
3000人の富裕層と面談した男が明かす“お金持ちの見分け方”(インタビュー前編)・
職業別“お金持ちの心”をわしづかみにする決めゼリフ・
文字で分かる“お金持ちになる人”・
「お金に執着」する人ほどお金持ちと結婚できない?『営業マンはお金持ちをねらえ!』著者の掛越直樹さん