チームのモチベーションをあげて目標を達成するため、メンバーに対して指揮を執る――現場のマネジメントを担う課長は、組織にとって非常に重要な存在といえます。
とはいえ、やはり難しいのが部下たちのモチベーションを維持し、結果を出すこと。背中を見せて部下を引っ張る課長像もあれば、部下の主体性を重視し、やる気を引き出す課長像もあり、どんな上司を目指せばいいのか悩ましいところです。
しかし、理想的な上司にならなくとも、部下とのコミュニケーションさえしっかりと取っていれば、相互に信頼関係が生まれ、いい風土が醸成でき、組織は活性化するものです。
ここでは『課長の会話術』(田中和彦/著、日本実業出版社/刊)を参考に、部下と信頼関係を築けない上司の特徴を3つご紹介します。
■ゴールも示さず、雑談しかしない
例えば部下と面談の場を持ったときに、あなたはどのような話をしますか? 業務上の悩みや成果を上げたこと、部署内外で気づいたことなど、様々なトピックがあるはずですが、部下に何を話すべきかを考えもせずに、意味のない雑談ばかりしているという上司も多いのではないでしょうか。
相手の性格や好みを知るため、また本音を探るためなど、効果的な雑談もありますが、現代の忙しいビジネス環境では、他愛のない雑談は、ともすると時間の無駄になってしまいます。部下との会話では、明確な目的意識を持ち、到達するゴールを決めて話すべきです。田中さんいわく、部下とのコミュニケーションは、「お互いの関係を確かなものにし、部下にやる気を持ってもらい、目標達成に向かって最大限のエネルギーを発揮してもらう」ためのものだといい、最初の面談によって、その部署の成果の9割が決まると断言しています。
■部下の動機も確認せず、尻ばかり叩く
部下の入社動機や働く動機は、部下のやる気をマネジメントする上で、上司が最低限でも押さえておくべきもの。動機(=モチーフ)は、モチベーションに大きく影響する要素なのです。部下の動機に基づいた仕事の任せ方さえできていれば、部下は自発的にやる気をあげてくれます。
課長の仕事は、その動機と部下にやってほしいこととをどうすり合わせるかをひたすら考えることなのです。部下の内なる声に耳を傾けず、「つべこべ言わずに、売ってこい!」と尻を叩くだけでの上司では、一体感のある部署など作ることができません。
■部下をがっかりさせてしまうタブーワードを連発する
部下と仕事の話をしている中でも、使ってはいけない言葉はたくさんあります。
例えば「あのときは賛成したけど、実は反対だった」というような手のひら返しの言葉や、「俺はいいと思うけど、会社がNOなんだ」という責任転嫁ワード、さらに「俺は聞いてないぞ」という言葉もNGです。特に最後の「俺は聞いてないぞ」は、報告を受けていたのにも関わらず、それを忘れて人のせいにしたりするときによく使いがちですが、部下の気持ちは萎えてしまいます。本当に記憶がないにしても、この言葉を使うことは避けた方が賢明です。
部下たちが頼りにできるのは誰でもない、上司だけです。逆に言えば、上司のひと言が部下たちを生かしも殺しもするのです。
上司である皆さんは、いつも部下とどんな話をしていますか? しっかりと意味のある会話をしていますか? 本書ではどのような話をすればいいのか、すなわち「何を話せばいいのか」という部分にフォーカスして書かれているので、部下との関係が上手くいっていないという人や、どうコミュニケーションを取ればいいのか分からないという方には、きっと参考になるはずです。
(新刊JP編集部)
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