「神様、どうしてお母さんを選んだの...?」
本来、大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どものことを「ヤングケアラー」という。
本書『48歳で認知症になった母』(KADOKAWA)は、小学5年生にしてヤングケアラーになった美齊津康弘(みさいづ やすひろ)さんの実体験をつづったコミックエッセイ。
まずタイトルに衝撃を受けた。美齊津さんのお母さんのように、65歳未満で発症した認知症を「若年性認知症」といい、平均発症年齢は51歳、患者数は全国で4万人弱と推計されているという。
BOOKウォッチでは、本書の「第1章 変わっていくお母さん」を4回に分けてお届けする。
まだ40代。明るくて優しくて自慢のお母さんに異変が起きたのは、僕が小学5年生の時だった。変わっていってしまうお母さんの姿に、「なんで? なんで?」と涙する僕。欠けていく自分に戸惑いながら、日常を必死で守ろうとするお母さん。これからも続くはずだった幸せな日々が、徐々に崩れていく。
「これは48歳で認知症を発症した母と 小学5年から介護が始まった僕のお話です」
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■美齊津康弘さんプロフィール
1973年福井県出身。防衛大学卒業後、実業団のアメリカンフットボール選手として活躍し、日本一となる。幼少期ヤングケアラーとして過ごした経験をきっかけに、選手引退後は介護の道へ進む。現在はケアマネジャーとして働きながら、自ら開発したWEBシステム「えんじょるの」を使って、買い物弱者問題の解決に取り組んでいる。
■吉田美紀子さんプロフィール
山形県出身。20代からマンガ家として主に4コマ誌で活躍。セカンドキャリアで介護の仕事を始める。著作に『40代女性マンガ家が訪問介護ヘルパーになったら』(双葉社)、『消えていく家族の顔』(竹書房)があり、SNSでも発信をしている。