豊島与志雄さんを知っていますか?
「レ・ミゼラブル」の翻訳者としてその名が知られていますが、童話も創作していました。
明治から昭和にかけての生涯の中で、文学の光を追いかけ生み出された彼の作品は数多くあります。評価されるためではなく、生命として咲く野草のように、たくましく可憐なお話たちは、今も瑞々しく新しい発見をもたらしてくれます。
短いお話では、もっと聴きたいとせがまれてしまう。そんな少し大きくなったお子様に、是非おすすめします。
1トラック約10分以内で、ひとつのお話につきおよそ3~6トラックが収録されています。日本特有の時代設定のものから、エキゾチックな異国情緒あふれるお話までたっぷりとあります。
豊島与志雄の真骨頂は、ありきたりではないストーリー展開もさることながら、随所にちりばめられた詩的で繊細な美しい表現力にあります。
「川の精が戯れる水辺」「数限りない星が集まって天の川の砂になる」......。聴く人の心の世界に、豊島与志雄が持っていた輝く目線の世界を映し出すことでしょう。
豊島氏の物語は、ストーリー性が高く繊細な描写であるがゆえに、登場人物に試練が訪れることもあります。
私のお気に入りの「じゅうたん」というお話では、ある王子が街の平民の娘を好ましく思い求婚するのですが、娘は条件をひとつ出すのです。
それは、王子がそれを生業とできるような特技をひとつ身に付けるというものでした。
生きていくうえで、たぶん、悲しい出来事というのは最小限に抑えることは出来ても、完全になくすことはできないです。
綺麗な悲しみにとどまったまま、ずっとその中で自分を傷つけている人もいるかもしれません。もしくは、どこかへ無かったことにしてしまう人もいるかもしれません。豊島氏のお話は、悲しみを持ったままでも進める優しさ・強さについて書いているように感じます。
いつか未来に悲しみを含めたいろんな感情に出会っても、焦らずゆっくりと進んでいける強さを育む、そんなお話が収録されています。
YouTubeで 豊島与志雄童話全集(全84話収録) のお試し聴きができます。
さらなる詳細は でじじ でもご覧板だけます。パンローリング株式会社では、投資家向け専門書を始めとし、国内外を問わず上質で様々な書籍の翻訳出版、復刊をしております。耳で聴く本・オーディオブックでは、古くより自社他社問わず音声化に適した魅力的な書籍を選書・音声化しており、中でも児童書の品質・作品数は国内一を誇ります。今後も、ロングセラーから、ちょっとマニアックな物まで読者・リスナーの毎日を豊かにしていただくための作品作りを行って参ります。
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