今回ご紹介する本は、楽天ブックス書籍チームの岩本莉子(いわもと・りこ)さんがおススメする一冊、『ある男』(平野啓一郎著/文藝春秋)。
当コラムは、ビジネスパーソンが「今、知りたい!」ニュースや情報を、広く・深く、そして楽しく「耳」に届けてくれる朝のラジオ番組『The News Masters TOKYO』(文化放送 AM1134/FM91.6 月~金 午前7時―9時)で、とりあげた本を紹介する。番組では、毎週火曜日の午前8時25分ごろから本の紹介コーナーを放送中。
著者は、1999年に当時最年少の23歳で『日蝕』により第120回芥川賞を受賞した平野啓一郎さん。
『ある男』は、今年の「本屋大賞」にノミネートされた10作品のうちの一冊。「本屋大賞」とは、今年で第16回目を迎える文学賞で、大賞は4月9日に発表される。他の文学賞との大きな違いは、他の賞のようにプロの作家や評論家などが決めるのではなく、「新刊を扱う書店の書店員」の投票だけで決まるということ。ちなみに、昨年は『かがみの孤城』(辻村深月著/ポプラ社)が大賞に選ばれた。
今年も10冊がノミネートされた中で、岩本さんが選んだ『ある男』。衝撃のストーリーで、「ある男」が亡くなった後に、名前も経歴も全くの別人だった...というところからお話が始まる。「あの人は一体、誰だったんだ!?」という、現実ではなかなか起こり得ない事ではあるが、「もし、自分以外の他人の人生を生きていたら」と想像したことがあるという人も多いはず。そういう意味では、誰の心にも刺さる一冊。
番組パーソナリティのタケ小山氏も、「今の人生に疲れちゃって、生まれ変わりたいなという人は、これ読んじゃうと、本当に変えてよ、になっちゃうね」と、すでに刺さっている様子。
「ある男」とは、結局、誰だったのか?探っていく中で、正体が明らかになっていくが、探っていく過程が非常に面白い。共感するところもあり、物語の登場人物の中に入ってしまい、「ある男」とは自分のことなのではないか?と、のめり込んでしまうところもあるが、実は、悲しい話でもあり、社会問題も含まれており、考えさせられる作品となっている。
読んだあとの感想「読後感」を知りたがっていたレギュラー出演者の楠木建氏が、「カレーだと辛口とか甘口とか、目薬だとクールとかまろやかとか、どのタイプなのかを知りたい。この本はスカッとさわやかなのか?重くじっとりなのか?」と問うと、岩本さんは「重くじっとりです」と答えてくれた。
「もしも名前も肩書も全てを取り払ったら、自分はどんな人間なのだろうか?」と考えてしまうような、新しい視点を与えてくれる一冊。
「私とは何か?」という問いがある平野啓一郎さんの作品。色々な視点から読める作品となっているので、是非、自分の「もしも」を想像しながら読んでみては?
「ある男」の正体を知りたい方は是非!
「重くじっとり」を味わいたい方も是非!
ゴルフ解説者のタケ小山さんがゴルフマネジメントで培った独自の視点でニュースを深堀りするラジオ番組「The News Masters TOKYO」と「BOOKウォッチ」 がコラボレーション。
ラジオ番組内コーナーの「トレンドマスターズTOKYO」(8:25~8:30)で毎週火曜日にお届けする本の話題を中心に、同僚や友人、家族に思わず話したくなる情報をコラム形式でお届けします。
「The News Masters TOKYO」(月)~(金)AM7:00~9:00
文化放送にて生放送!(AM1134/FM91.6/radiko.jp)
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