今回ご紹介する本は、『The News Masters TOKYO』とコラボする「J-CAST BOOKウォッチ」の編集長、木村寛明(きむら・ひろあき)がおススメする一冊。『スーパーカブは、なぜ売れる』(中部博著/集英社インターナショナル)。
当コラムは、ビジネスパーソンが「今、知りたい!」ニュースや情報を、広く・深く、そして楽しく「耳」に届けてくれる朝のラジオ番組『The News Masters TOKYO』(文化放送 AM1134/FM91.6 月~金 午前7時―9時)で、とりあげた本を紹介する。番組では、毎週火曜日の午前8時25分ごろから本の紹介コーナーを放送中。
当作品の著者は、元週刊誌記者でノンフィクション作家の中部博(なかべ・ひろし)さんで、25年もホンダのスーパーカブを取材しているという、熱のこもった一冊。
小さい可愛いバイクというイメージのスーパーカブ。「カブ」とは、英語で「猛獣の子供」を意味し、小さいエンジンでもパワーがあることをアピールしているそう。
スーパーカブに詳しいという番組パーソナリティのタケ小山氏は、「ホンダさんは前にでっかいドリームというのを製造していた。ドリームはうちの親父世代があこがれて買っていたバイク。そして小型で出てきたのがカブ!僕は学生の頃、出前をやっていましたから。出前のアルバイトといえばカブ!何故かと言うと、左手におかもちが持てたから!」と、こちらも熱のこもったトークが繰り広げられた。
この本、驚くのがサブタイトル。「世界で1億台!驚異のベストセラー」。1億台!そう、スーパーカブは、製造数が最も多いバイクとして世界一!ギネスにも認定されている!まさに驚異!
まず、クラッチの半自動化で左手を自由にするなど、数々のカブの設計思想がある。たとえば、当時は単純で軽い2サイクルエンジンのオートバイが多かった中、ホンダはあえて小型の4サイクルエンジンに挑戦した。それによって圧倒的に燃費が良く、なんと、1リッターあたり90km走るというマシンを誕生させた!
レギュラー出演者の楠木建氏(経営学者)は、「本の中身をパラパラと見て、何がスゴいかというと、1958年の発売から60年を経た今も、メカニズムや造形は、ほぼ発売時のまま。スーパーカブは20世紀から21世紀にかけて最強の商品!これぞ商品開発!」と、力説していた。
今現在、世の中で、2サイクルエンジンのオートバイは新車販売されているものはない。2サイクルエンジンは、排気ガスなどの環境面でのデメリットが大きい。そんな2サイクルエンジンが主流だった中、スーパーカブは、比較的クリーンな排気ガスである4サイクルエンジンを当時から選択していた。まさに、未来に合った設計といっていい。ほかにも、つま先でシフトアップしない乗りやすいギア。つま先でシフトアップしないということは、靴を傷付けないということなので、生活に根ざし、コンシューマーを徹底的に意識して考えられた基本設計だという事が、この本を読むと伝わってくる。
楠木氏が、「これがまた良い話が満載なのですが、開発会議で、創業者の本田宗一郎氏は、手の内に入るものをつくれと。ずっと一緒に経営していた藤澤武夫氏は、女性が乗りたくなるようなオートバイを、これだけ。余計な事は言わなかった」と、本を読みながら力説を始めると、「何故、女性が乗れるかというと、カブはまたがない!昔のバイクは、お腹の前方にガソリンタンクがあって、馬のようにまたがないと乗れなかった。それを、カブはタンクの位置を変え、女性がまたがないで乗れるように設計した!」と、タケ氏が口を挟む。
本作は、スーパーカブ愛好家のみな様にススメの作品であることは間違いないが、プロジェクトリーダーは自分の言葉を持っているというエピソードなど、幅広いビジネスパーソンにも参考になる部分が多い一冊。
なお、本作は、「デイリーBOOKウォッチ」コーナーでも紹介済み。
ゴルフ解説者のタケ小山さんがゴルフマネジメントで培った独自の視点でニュースを深堀りするラジオ番組「The News Masters TOKYO」と「BOOKウォッチ」 がコラボレーション。
ラジオ番組内コーナーの「トレンドマスターズTOKYO」(8:25~8:30)で毎週火曜日にお届けする本の話題を中心に、同僚や友人、家族に思わず話したくなる情報をコラム形式でお届けします。
「The News Masters TOKYO」(月)~(金)AM7:00~9:00
文化放送にて生放送!(AM1134/FM91.6/radiko.jp)
http://radiko.jp/#QRR