社会人になると、敬語を使うのが当たり前になる。敬語と一口に言っても、尊敬語、謙譲語、丁寧語、美化語などがある。これらを正しく使いこなすのは、実は意外と難しいものだ。
まずは丁寧語と美化語から始めよう
一番簡単な敬語は、語尾につける「です」「ます」だろう。これは丁寧語だ。
丁寧語は、基本的に話し言葉が上品に聞こえるレベルのもの。これくらいならば、日常的に誰もが使っていることだろう。
美化語というのは、名詞の前に「お」や「ご」をつけたもの。「お寿司」「ご飯」「お手紙」などがそれに当たる。
この2つを使っていれば、まあまあ上品な口調に聞こえる。しかし、ほんとうの敬語はもっと難しい。
相手の動作は尊敬語、自分の動作は謙譲語
まず尊敬語。これは「相手を敬う」言葉だ。話すことは「おっしゃる」、食べることは「召し上がる」。目上の人を自分よりも、一段上げるイメージだ。
次に謙譲語。これは「自分を下げる」言葉だ。話すことは「申し上げる」、食べることは「いただく」。自分を一段下げて相手を上げるイメージとなる。
実は、この2つを使いこなすのは意外と難しい。まずは基本として相手の動作には尊敬語、自分の動作には謙譲語というように覚えておくといいだろう。
「ハチ公前に伺います」は間違い
『今さら聞けない敬語の基本』(矢野香・著/インプレス・刊)は、元NHKのアナウンサーの矢野香が、敬語について詳しく優しく解説している書籍だ。
そこにひとつの例文が登場する。目上の人と待ち合わせをするときの言葉だ。
日曜日にハチ公前に伺います。
(『今さら聞けない敬語の基本』より引用)
さて、一見正しい文章に見えるが、間違っているという。何が違うのだろうか。
この場合、動作は「行く」。
誰のところに行くのかというと「ハチ公」だ。そう考えると、この文章ではハチ公を敬っていることになり、待ち合わせをする人を敬っていることにはならない。
正しくはこうだ。
日曜日にハチ公前に参ります。
(『今さら聞けない敬語の基本』より引用)
自分の行動を一段低くする(=謙譲語を使う)ことで、相手を敬う。これが正解だ。
目上の人に「参考になりました」はNG
似たような例として、「参考になった」という言葉がある。目上の人に何か教えてもらったときに、「たいへん参考になりました」などと言うことがあるだろう。
しかしこれも間違いのようだ。
「参考になった」は、「その程度」と思われかねない言葉です。
(『今さら聞けない敬語の基本』より引用)
つまり、上の人が下の人に言っていると思われてしまうのだ。この場合は「たいへん勉強になりました」が正解となる。
会社などで上司と話すとき、取引先の人と話すとき、先輩と話すとき。シチュエーションに応じてスマートに敬語を使いわけられるようになれば、「できるやつ」と思われるはず。ちょっとだけ、敬語を意識してみてはいかがだろうか。
(文:三浦一紀)
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