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2,000円札を使おうとしたら、偽札と勘違いされた

 人間誰もが金持ちになりたいと夢見るものだ。最近は「お金だけがすべてではない」と、何かを悟ったような発言をする若者も多い。しかし、そんな人でも大金を目の前にしたらどうだろう。冷静にいられるだろうか。無理だ。歓喜し、豪遊しまくるはずである。いつの時代も金は人の心を惑わす存在なのだ。

お金は素晴らしいものだが、入手するための手段が不正なものであってはならない。ましてや、偽札を作り、使ってやろうなどというのは論外だ。

■通貨の歴史は偽金との戦い

『贋金王』(佐藤清彦・著/青弓社・刊)は、偽金作りをしてきた悪いやつらのエピソードをまとめた一冊である。

通貨の信用はすなわち国家の信用に直結するため、偽金対策は国家の責務と言える。しかし、どれほど高度な印刷技術を使った紙幣を発行しても、程なくしてそれを精巧に偽造した偽札が出回る。現在もいたちごっこの状態が続いている。

日本初の流通貨幣は708年の“和同開珎”が最初だ(これより古い貨幣に“富本銭”があるが、広く流通していたわけではないようだ)。その後もいくつか貨幣が発行されたが、やがて国家による鋳造は途絶え、中世の日本では輸入された中国の貨幣が流通していた。

いつからか、そういった輸入貨幣から型を取って庶民が貨幣を作る例も見られるようになった。厳密に言えば偽金作りである。とはいえ、当時は全国統一の貨幣の基準すらなかったため、やむを得ない気もする。これらは“私鋳銭”と呼ばれて流通していたが、作りが雑だったため、取引では嫌われる例が多かったようである。

■変わりゆく偽札作りの現場

いわゆる“偽札事件”が世間を騒がすようになったのは、近代国家が樹立され、新聞などのメディアが広まった明治以降だ。

当時、一般市民の間には印刷機やプリンターがなかった。そのため、絵心のある人が忠実に紙幣を模写し、一枚一枚手作りする例もあったらしい。なんだか、かえって大変だ。費用対効果ではいまいちなんじゃないだろうか。普通に働いた方がマシに思える。なお、戦後間もない時期、百円札を必死に模写して偽札を作っていたものの、あれよあれよといううちにインフレで円の価値が下落してしまったという哀れな犯人のエピソードもある。

最近の偽札は、パソコンのプリンターを使って製作する例が多い。もっとも、プリンターやスキャナもお利口さんになっていて、紙幣をスキャンしようとすると「スキャンできません」と表示される機種が増えているのだ。

■偽札を使う犯人像も様々

ひと口に偽札と言っても、作る側も、使う側も様々な思惑を抱いている。

『ルパン三世 カリオストロの城』は、宮崎駿大先生が監督を務めたアニメ史上不朽の名作だ。ルパンが秘密を暴こうとしていたカリオストロ公国の国家機密は偽札の製造であったが、実際に国家が偽札を作った例もあるのだ。第二次大戦中には日本軍が偽札の研究を行っており、中国大陸で使用されたものも多数あるという。現代でも、ミサイルを日本海に向けて発射する某国家は、極めて精巧な偽ドル紙幣の製造が疑われている。

セーラー服を着た可憐な少女が偽札を使い、何軒もの店から釣銭を騙し取ったという事件も起きている。ひょっとすると、店主は少女の可憐さにうっとりして、紙幣の方には目がいかなかったのかもしれない。少女好きのオッサンの心理を巧みに利用した、実に許せない犯罪であった。私だったら確実に騙されてしまうことだろう。ひ~!

■本物なのに偽札扱い?

現在、日本で発行されている紙幣の額面は4種類だ。

エッ!? 1,000円、5,000円、10,000円の3種類じゃないの? あっ、2,000円札があったんだ。そういえば最近全然見ないな、2,000円札。この2,000円札、発行されて既に15年が経過している。にもかかわらず、流通量は極めて少ない。表の絵柄が首里城の守礼門であるため、沖縄では2,000円札が他県より流通しているそうだが、これまで沖縄旅行で入手したことは一度もない。というわけで、日常生活で見ることはほとんどないだろう。今や「一度も見たことがない」「存在そのものを知らない」という人もいるらしい。

そのせいか、私の友人はコンビニで2,000円札を出したところ偽札と勘違いされ、「こんなお札ありませんよ」と言われて憤慨したことがあるそうだ。国家が普及させる努力を怠ったことで、とんだとばっちりを受けた彼。実に気の毒である。

(文:元城健)

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