読むべき本、見逃していない?

時空を超えて届く、若き詩人の悲しみ

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  • 書名 さようなら十七才 海と心の詩(うた)」
  • サブタイトル海と心の詩 わたしはどこへ行くのでしょう
  • 監修・編集・著者名高岡和子(たかおかかずこ)著
  • 出版社名リーダーズノート出版
  • 出版年月日2012年4月 7日
  • 定価本体1300円+税
  • 判型・ページ数240ページ
  • ISBN9784903722443
  • Cコード0095
  • 備考この本の紹介記事/朝日新聞2012年4月24日、東京新聞2012年5月13日(朝刊)、神奈川新聞2012年5月27日/ロングセラー書籍

〈書評〉くにみつゆかり氏(ひなた編集室代表)


  「生きにくい時代なんだよな~」「そうだね~」と、わたしは相槌を打ちながら、超お気楽なSからこぼれた言葉の重さに、はっとした。うつを病む人が身近にいるのだが、どう対応したらいいものか......無力な自分たちに溜息をついてしまった。

 そんな時に届いた1冊の本。48年前、自ら命を絶った17才の少女の詩集が復刻された。ぱらぱらとめくって拾い読みするだけで、心がざわざわと波うつ。読書はもっぱら心地よく寝るためのひとときのものだったが、この本はゆっくり胸の内で音読しては考え、考えてはまたページに戻る。少女が死に向かう理由を、なんとか行間から読み取ろうとしてみた。

〈夜の夜中/にがい紅茶をのみながら/わが身のにがさをおしはかる〉

  これは彼女の中3の時の作品だ。詩人になりたいと意識し始めたのがこの頃で、正体の知れない孤独に襲われながらも、強く生きようと自身を励ます詩が交錯する。大人びた感性と鋭い洞察力が、彼女の作品を磨くと同時に、彼女自身を傷つける。

  友情や恋愛に悩む姿が行間に垣間見える。誰もが通る思春期の道だ。わたしだって「本当のわたしをみんな知らない」なんてことを、日記に書き綴っていた記憶がある。決して特別な孤独を彼女が抱えていたわけではないと思う。

  「勇気」と題した詩にはこんなフレーズがある。

  〈たくさんの小さな詩の中に/万人への愛がこめられているのを/知ったとき/私は元気づけられた/活字のうらの/透明な愛のたましいが/私の疲れた心をやさしく愛撫してくれた/この「勇気」を忘れまい/新しい力をいつまでも失わずに/私は詩を書こう〉

  こう綴った5日後、詩を書きためたノートを浜辺に残し、彼女は「海に向かって歩いて」いく。

  活字を通した仕事をしているわたしは、活字の力によって彼女に現世を生き抜いてほしかったと切に思う。活字に生きざまをぶつけ、もっともっと詩の世界に生きてほしかった。

  48年という時間を超えて、わたしの心を震わせる少女の詩。誰もが生きにくいと感じる今、自分が生きていることの「奇跡」に改めて気づき、その「生」に感謝したいと思う。


2012年4月


評者
くにみつゆかり
ひなた編集室代表、NPO法人 人と地域の研究所理事
高知大学就職室相談員


著者・高岡和子(たかおか かずこ) 1946年-1964年 少女詩人。子供の頃から詩を書くことを覚え、豊富な語彙、 巧みな表現力、鋭敏な感受性によって数々の秀作を残した。高校では新聞部で活躍。1964年2月の夜に湘南海岸にノートを残して消息を絶ち、大島付近の海上で遺体となって発見された。彼女の作品は、遺稿集「雨の音」として知人の国重光煕氏(のちの冒険家)や友人らによって発表された。ジュディ・オング氏(歌手)が彼女を歌いテレサ・テン氏(歌手)も台湾でその曲をカバーした。

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リーダーズノート出版

『どこかに「毒」がなくてはつまらない。どこかに「蜜」がなくては諭しめない。どこかに「骨」がなくては意味がない』それらを自らのレーゾンデートルと位置付け、精力的に出版活動を行っている出版社。

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