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いまの時代に、「物理」の学び直しが大切なワケ

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  • 書名 一生モノの物理学
  • サブタイトル文系でもわかるビジネスに効く教養
  • 監修・編集・著者名鎌田浩毅/ 米田 誠
  • 出版社名祥伝社
  • 出版年月日2022年2月28日
  • 定価1760円
  • 判型・ページ数四六判・288ページ
  • ISBN9784396617417
文系ビジネスパーソンにとって、学生時代に学んだ理系科目にはいい思い出がない人も多いのではないでしょうか?
なかでも、「物理」はハードルが高く感じられ、もっとも敬遠されがちな科目です。
しかし、理系人材がより強く求められる昨今にあって、「物理」をまったく知らないままでは、ビジネスの世界を渡っていけなくなりつつあります。
では、物理とは何なのか、社会のテクノロジーにはどんな物理が使われているのか、物理の学び直しはどうやって行えばいいのか――。
本稿では、それらのポイントを平易に解説した、京都大学名誉教授の鎌田浩毅氏と関西難関大受験予備校研伸館の米田誠氏による共著『一生モノの物理学 文系でもわかるビジネスに効く教養』より、特別にまえがきを掲載します。


日本の「物理力」が危ない


●教えるプロフェッショナルが物理を解きほぐす
はじめまして。こんにちは。
この本は画期的な物理学習の本です。
高校生・大学生、ビジネスパーソンを問わず、すべての人に物理はこんなに面白いのか! と知ってもらうための本です。

理系の本ですが、最後まで苦労なく読めるように、たくさんの工夫をしています。
それはこの本が、鎌田浩毅と米田誠の二人三脚で書かれたからです。

どうしてそんなことが言えるのか、僭越ながら私たち著者の自己紹介から始めさせていただきます。

まず、著者の一人である鎌田浩毅は、京都大学の教授として24年間、地球科学の研究と教育に携たずさわりながら、物理を日常的に使ってきました。
その中で『世界がわかる理系の名著』(文春新書)や『理科系の読書術』(中公新書)、『理学博士の本棚』(角川新書)などの著作のほか、テレビ・雑誌等で科学をわかりやすく解説する「科学の伝道師」活動を行なっています。
そして現在は、京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授・名誉教授として、近未来に日本を襲ってくることが確実な南海トラフ巨大地震、首都直下地震、富士山噴火のアウトリーチ(啓発・教育活動)と防災に邁進しています。

また、もう一人の著者である米田誠は、大阪大学大学院修了後にメーカー勤務を経て、いまは研伸館という関西の予備校で、東大・京大・難関大医学部などの大学入試突破を目指す高校生や中学生を指導する物理講師です。

この本は、そんな日常的に物理を扱っている二人の手で執筆されました。
では、なぜいまこの本を出す必要があるのか――それは、日本人の物理を理解する力、いわば「物理力」の低下が顕著だからであり、それを憂えているからです。

そもそも高校理科には、化学・生物・物理・地学といった4つの科目があります。
化学は物質の変化の仕組み、生物は生命のメカニズム、地学は地球環境の成り立ち、というように、自然界にある特定の現象を取り扱うものです。

一方、物理は、化学・生物・地学で扱う現象の背後にある法則に注意を向け、根本的な原理を明らかにします。
つまり、高校物理は、様々な事物や現象に共通する性質を抽出して、少ないルールでそれを整理する思考過程を身につけることを学習の柱に据えているのです。

ところが、残念なことに多くの日本人は、その物理についての内容を理解していません。
というのも、高校において物理を全範囲にわたって履修する生徒は、半分にも満たないのが現状だからです。


●日本人の物理の知識は「中卒」レベル!?
日本人がいかに物理から遠ざかっているのかがよくわかるのが、表1の大学入学共通テスト(旧センター試験)における科目ごとの受験者数です。

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表の右側にある受験者数を見てください。
化学の受験者が最も多く、次いで物理、生物、地学の順になっています。

これは、理科系志望者の国公立大学志向が強く、国公立大学の入試において理系受験者の多くは2科目の受験が必要となっているので、「化学+物理」もしくは「化学+生物」を受験する受験者が多いためです。

化学に次いで物理の受験者数が多いとはいえ、理科系であっても、物理の延べ受験者数は理科系全体の4割弱にとどまっているのです。

ところが、それ以上に特筆すべきは、国公立志望の文科系の人の多くが受ける「〇〇基礎」(物理や化学といったそれぞれの科目の入門編に位置づけられるもの)についてでしょう。この「〇〇基礎」の科目の中で、「物理基礎」の受験者数は圧倒的に少ないのです。

ましてや、私立の文科系学部では理科が受験科目に設定されてさえいません。
ほとんどの私立文科系志望者は、高1まででそもそも理科の学習から離れてしまっているのです。

つまり日本では、大学を卒業した学士であっても高校内容の物理をある程度理解できている人は半分にも満たず、特に文科系出身者の物理知識はなんと中学生止まりなのです。

STEAM教育(Science, Technology, Engineering, Art, Mathmatics に注力した教育)の重要性が叫ばれている昨今の時流からも、この状況は日本の未来の国力を左右する重大事ではないかと、私たち二人は考えています。


●物理は万物の原理となるもの
では、そんな学習離れが進んでいる「物理」とは何なのか。
ここで改めてご説明しておきましょう。

そもそも「物理」とは物の理(ことわり)という意味であり、「物理学」は自然界の現象を支配する法則について理解・整理することを目的としています。
ちなみに、江戸後期から明治初期には「窮理学(きゅうりがく)」と呼ばれていました。理を窮(きわ)める学問という意味です。

そして、物理学には現象の持つ性質を実際に確かめてみる「実験・観測」と、それが成り立つ原理を突き詰めて考える「理論」の2つの柱があり、この2つが車の両輪のように嚙み合わさりながら、物理学の体系をつくっています。
すなわち、実験と理論の両方を使って物の本質を探ることで、宇宙に起きている様々な現象の原因や原理を知ろうとすることが「物理学」なのです。

また、こうした学問は大学では理学に分類され、社会に直結して役立つ何かを創り出す工学とは分けられています。
ですから物理学は、直接的な社会貢献を目的とする工学、農学、医学、そして薬学などとは異なり、「物事の根本を突き止める」目的意識の強い理系学問といえるのです。

とはいえ、社会に直結しない物理学が、現実世界の役に立っていないわけではありません。
むしろ物理学は自然科学の基本となるものであり、他の理系学問の根底にもその考えは息づいています。

例を挙げれば、部屋に電球が灯り、電車で会社に出勤し、スマホで友人と連絡を取り、ジェット機で海外旅行ができる......といったような、これらの技術のほとんどが、物理学により発見された法則によって機能しているのです。


●ビジネスパーソンは物理を学べ!
このように物理が様々な技術に応用されているということは、裏を返せば、日本人の物理知識が中学レベルで止まっている現状は、それだけ由々しき事態だということです。

実際、先程述べたような、なぜジェット機が空を飛べるのか、スマホはどのような仕組みで動いているのか、どうして身の回りにある電化製品は動くのか、といったことについて、多くのビジネスパーソンがその原理を説明できない状況にあるのではないでしょうか。

物理に明るいビジネスパーソンと、物理を苦手とするビジネスパーソンでは、たとえば自社製品を理解すること一つとっても差がつくでしょう。
販売や宣伝といったことを考えても、原理がわかっている人とそうでない人では、おのずと説得力に差も出ます。

実際の技術面に関する理解に乏しい人物は、次の時代に通用する革新的なビジネスプランをひらめくことも難しいのではないでしょうか。
すべての現象に通じる物理をまったく理解できていないというのは、やはりそれだけで大きな損失なのです。

だからこそ、本書はビジネスパーソンをはじめとする物理に苦手意識を持つ人に向けて高校物理の内容を楽しく復習しながら身につけていただける再学習書としてつくりました。

まず、一見難しそうな物理の法則を、ビジュアルでわかりやすい図を使って、理科の苦手な人にも直観的に理解してもらえるように工夫しました。

さらに、ビジネスにも関連の深い最先端医療などの話題やお茶の間で目にする物理現象など、なるべく日常生活で親しみのある面白いトピックスを紹介しながら、予備知識なしでも理解できる内容で、ほぼすべてを高校物理の範囲内で説明しています。
読みながら自然に物理に親しんでいただければ嬉しい限りです。


●物理を学ぶことで身につく能力
物理を学ぶことにより、ビジネスパーソンにとっても必要な力である、自分が直面した課題を簡略化・抽象化する能力が身につきます。

たとえば、世の中にある数多くの課題は一つの要素のみからできているのではなく、複数の要因・要素が影響を及ぼし合いながら、その課題を構成している場合が多いのではないでしょうか。

こういった場合、物理ではまず一番重要な要素だけを抽出して、簡略化して解決しようとします。
言い換えると、物理では問題の一般化と抽象化を行ないます。問題の本質は何か、何が最も重要な要素かを先に考え、どうやって解決するのかへと導いていくのです。

実際、宇宙を含めて自然界の諸現象をいくつかの美しい原理に抽象化し、少数の数式で記述しようとする試みがいまなお研究され続けています。
こうした考え方に基づく物理を学ぶと、技術系の仕事を遂行するときに有用なのはもちろん、社会に出て様々な仕事をする際に論理的な解決策を考えるうえでも役に立ちます。

すなわち、物理の知識と運用能力は世の広い分野で活用されているといっても過言ではないでしょう。

いかがでしょうか?
文系のみなさんも物理に興味を持っていただけたのではないでしょうか?
それでは早速、ビジネスパーソンに必須の教養としての、高校物理の世界へご案内しましょう。


書き手:著者 鎌田浩毅・米田誠
本稿は『一生モノの物理学 文系でもわかるビジネスに効く教養』の「まえがき」をもとに作成

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祥伝社

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