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女性の活躍を阻むのは どんな組織にも存在する「ボーイズクラブ」の壁

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韓国の女性広告クリエイターであり、NYタイムズでも紹介されたフェミニズム空間「ウルフソーシャルクラブ」の運営者でもあるキム・ジナ氏。
2021年4月のソウル市長選立候補でも話題になりました。
女性なら一度は経験のある出来事を痛快に描いたキム・ジナさんのエッセイ 『私は自分のパイを求めるだけであって人類を救いにきたわけじゃない』が話題です。
広告業界の第一線で20、30代を送った著者は、40代で#MeToo運動の波をかぶってはじめて、これまでの自分にも疑問を持ちはじめます。
多くの女性が「読んでスカッとする!」と共感するこのエッセイ。
日本でも「スカッとする!」との声が広がっています。一部を抜粋してお届けします。

●組織を動かす「ボーイズクラブ」の存在
熾烈な競争をくぐりぬけて就職に成功した女性がいる。公的な機関であれ私企業であれ、大規模だろうが小規模だろうが、女性はわりと早いうちに組織を動かす「ボーイズクラブ」の存在を知ることになる。女性社員の割合が高くてもあまり違いはない。社長はもちろん、幹部クラスのほとんどが男性なのだ。

グローバルスタンダード志向が強いサムスン電子の場合、製造分野に偏ってはいるものの社員の53.1パーセントが女性なのに対し、役員クラスとなると4.5パーセントまで落ちこむ。LG電子は役員250人中、女性はただ一人だ(2016年7月29日 ハンギョレ新聞記事より。なお、2020年3月現在、同社の女性役員は8名に増えたが、全役員に占める割合は2パーセント台である)。

会社員生活は仕事がデキるだけでは不十分。チャンスは人から与えてもらうものだからだ。自分を認め、助け、引っ張る力を持つ側はほぼ男性という状況。そんな「ボーイズクラブ」のドアをどうやって叩くか。若くて野心のある女性なら、自分のキャラに合わせて戦略を選ぶことになる。

●「キャラ別戦略」や、私生活を犠牲にしてチームリーダーになったとしても
家父長的なステレオタイプの例をいくつか挙げると、仕事帰りの飲み会、各種の社内の集まり、勤務中の喫煙タイムに欠かさず顔を出し、全面的に男たちとつきあう気さくな「弟」戦略、なにもなくてもチームリーダーや本部長の居室に顔を出し、面談を希望したり悩みを打ちあけて助けを求めたりする「妹」戦略、つねにやさしい笑みをたたえ、社内のさまざまな案件、面倒くさそうな用事を積極的に手伝ってあげる「母ちゃん」戦略などがある(だが、実際に女性が出産するとただの「お母さん」扱いされる)。
このほか、他人のことは我関せず、ひたすら自分の性格やペースで仕事に集中して存在感を見せつける、俗にいう「イカレ女」戦略もたまに使われることがある。

私の経験からいうと、そのうちのどれをとっても効果はある。実力と運に恵まれ、私生活はナシにして会社の仕事だけに専念することを前提に、チームリーダーあたりのレベルまでなら。
もしそのあいだに結婚や出産を経験したり、あるいは不条理や不正を大目に見る図太さが足りなかったりする場合、女性は自ら組織を退場する。10年目になるまで気がふれたように働いて、ある日突然同期の女性が誰も残っていないことに気づいたときの感覚は、1、2行の文章では説明しがたいものがある。

●安定した組織で、仲間と力を合わせて、キャリアを重ねる。
そんな当たり前の女性リーダーがいる社会になるには?

主に同窓会組織、山岳会、ゴルフの会といった社交の集まりとして活動している「ボーイズクラブ」は、大きな昇進問題やポストをめぐる話など、テーマが自分たちの利益と直結した瞬間に正体を現す。
業務以外のところでなんとか共通するところを見つけ出し、共有し、親睦を深めるそうした男性の連帯について、ロンドン・ビジネススクールのハーミニア・イバーラ教授は「自己陶酔的で怠惰(narcissistic and lazy)」と特徴を説明している。
女性を昇進させるかどうかを決める重要な瞬間にも、決定権者は周りの男性の言葉によってその女性の資質や能力を確かめたがる。
有能だがそばにいるとやりづらい女性より、多少力不足でも「知り合いの妹」にチャンスが巡るという呆れた展開も、そうした理由によるものだ。

結論を言うと、いくら女性が戦略的に人脈を作ろうとしたって「ボーイズクラブ」の堅い自己愛と怠惰の壁は打ち破りがたいのだ。
つまり、いま議論すべきは、高い能力でひとりメディアを企画し、実現した例外的な女性の「成功の秘訣」ではない。
「ボーイズクラブ」で生き残る代案がそういうことであってはいけないし、それこそ彼らを喜ばせることだろう。

安定した組織のなかで、チームの仲間と協力しながら業務をこなし、キャリアを重ねる。そんなあたりまえの女性リーダーはどうしたら増やせるだろうか。焦点を合わせるべきはそこだ。
ニコニコ笑っていたら投票権が女性のものになったわけではないのと同じように、このプロセスでも自律と善意だけに頼ってはいられない。
企業の女性役員クォータ制を法制化することが不可欠である。


[書き手] キム・ジナ (翻訳 すんみ、小山内園子)
キム・ジナ
コミュニケーション・ディレクター。時代や社会へ向けたメッセージを広告や空間を通じて発信する。弘益大学視覚デザイン科卒業後、広告代理店に入社。現代自動車、現代カード、バッカスなど大手企業のCMを次々に手がけ、独立後の2013年には大韓民国広告大賞も受賞。フェミニズムに目覚めてからは女性嫌悪を排除した広告作りに邁進する。2016年に発表した化粧品広告でフェムバタイジング(Femvertising、フェミニズムFeminismと広告Advertisingを掛け合わせた造語)の先陣を切った。また「外に飛び出した自分ひとりの部屋」をコンセプトに運営する「ウルフソーシャルクラブ」はソウル有数のフェミニズム空間であり、2019年3月にニューヨーク・タイムズにも紹介された。2021年4月のソウル市長選に立候補。

【初出媒体】
 『私は自分のパイを求めるだけであって人類を救いにきたわけじゃない』(祥伝社刊)
著 キム・ジナ 
翻訳 すんみ、小山内園子

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