読むべき本、見逃していない?

ガチ文系だって、数学的思考が必要だ

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数学嫌いだからといって、数学的ものの見方ができないままだと、これからの時代、ちょっと残念なことになりそうです。
『数学的思考ができる人に世界はこう見えている~ガチ文系のための「読む数学」』より、なぜ、ガチ文系でも数学的思考が必要なのか、その理由をご紹介しましょう。

数学のさまざまな考え方を身につければ、 身の回りのことがすっきり正しく理解できるようになる

●パワーワード「微分」を手に入れよう
文系のみなさん!
微分がわかればうれしくないですか?!
微分、できれはわかりたいですよね!
「微分っていうのはね......」「微分的に言うと......」と言ってみたいですよね!
読んだあとで、会話の中に微分というパワーワードが出てきてしまう。そんなふうになりたくないですか?

「この数式にどんな意味があるのかわからない。それでついていけなくなりました」
いわゆる「文系」に属する人たちの多くは、中学・高校時代にそんな疑問を抱いたり、挫折を味わったことがあると思います。
足し算や引き算やかけ算の九九はできないと生活する上で困るので、小学校で習う「算数」が役に立たないという人はあまりいません。
ところが中学校で習う関数や三平方の定理、高校で習う微分積分といった「数学」になると、急に抽象度が上がるので、その数式やグラフがいったい何を言わんとしているのか、わからなくなる。

文系人間が「数学を使わない生活」を始めるのは、社会に出てからではありません。
大学に入った時点で、文系にとって数学は無縁のもの。さらにいえば、私立大学の文系学部に入った学生のかなりの割合は、受験科目として数学を諦めています。 いまは「私大文系」に絞って国語・英語・社会の受験勉強しかしない人も多いのです。

●理系出身者の話にポカンとする文系人間
私はまさにその私大で教えているので、理系学生と文系学生の数学力の違いをよく知っています。私自身は文学部の所属ですが、教職課程の担当なので教える相手は文系の学生だけではありません。教員になるための授業では、理系・文系を問わず、さまざまな学部から集まる学生を一緒に教えています。
その教室で、何かの拍子に理系の学生が関数や微分積分の話をすることがあります。とはいえ、そんなに難しい話ではありません。黒板に数式を書き始めたりするわけではなく、ちょっとした説明の道具として数学の概念を持ち出すだけです。
彼らにとって、それはごく日常的なことにすぎません。たとえば世のおじさんたちが会社の組織論を語るときに、比喩としてスポーツの話を持ち出すような感覚でしょうか。

ところが文系の学生の中には、そういう概念を持ち出された瞬間にポカンとして、話が理解できなくなる人がいます。一方の理系学生も「えっ、高校で習ったことなのにこれぐらいのことでも話が通じないのか......」と驚いてしまう。そんな様子を、私は何十年も見続けてきました。
これは、たいへん残念なことです。理系か文系かにかかわらず、数学の考え方を使うことで物事の理解が進むことはたくさんあります。
スポーツにたとえることで、難しい話が「ああ、なるほど」と直観的に飲み込めるのと同じこと。漠然としてつかみどころのない物事が、数学の考え方を使うことでクッキリと手に取るようにわかることが、私たちの身の回りにはいくらでもあるのです。

●数式が解けなくても使える「数学的思考法」は砂金のようなもの
私自身も根っからの文系人間だと思っていますが、日々、微分や関数などの数学を活用して物事を考えています。
もちろん、数式を書いて正解を求めるわけではありません。あくまでも、考えるときの入口やヒントとして、数学の概念を使うのです。
いうまでもありませんが、私が身につけている数学の知識は、理系の研究者のみなさんと比べれば大人と子どもぐらい違うでしょう。受験生のときに、当時の共通一次試験や東大の二次試験のために数学を一生懸命に勉強した程度です。
当然ながら、それをすべて覚えているわけはありません。でも、頭の中から数学がきれいさっぱり消えてなくなることはありませんでした。問題を解くのに覚えたはずの知識やテクニックの多くが忘れ去られた一方で、私の中にしっかりと残った数学もあります。私にとって数学は、単なる「受験科目」ではなかったということでしょう。

受験を終えても残ったものは、いわば私にとっての「数学的な砂金」のようなものです。川底に溜まった砂を専用の道具に入れて水で洗い流すと、比重の重い砂金だけが残ります。それと同じように、高校までに勉強した数学の中には、文系の私にとって比重の重いものがありました。それが、数学的な思考法です。
理系の人たちがこれを聞いたら、「数学はすべて大事な砂金だ!」と叱られてしまうかもしれません。たしかに、自分が忘れたものを「ただの砂」というのもいささか不遜なことではあります。
しかしそこは、文系の限界だと思って許していただくしかありません。
大事なのは、数学とは無縁だと思われがちな文系人間にも、砂金のように価値のある数学があるということ。どんな仕事に就こうが、それが役に立つ場面は必ずあります。
そんなわけで、「数学のテストなんて二度と受けたくない」「もう数式と格闘するのはまっぴらだ」などと思っている文系のみなさんに、文系の私が数学の活用法を提案する本を書きました。 数学の問題に答えを出すことはできないけれど、数学のさまざまな考え方を身につけることで、身の回りの問題に対する理解を深め、それを解決するための「答え」に近づけるようになるはずです。

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祥伝社

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